ー27-見  





      __がこっちを見ている。




異形の狭間ハザマに成り果てた

山と森と。


立ち尽くす

碓井うすい溫烱はるき


       __がこっちを見ている。




深い木々を抜け、

森の奥、

さらに奥の奥に消えていく、

ほむらの黒い影。

手を引かれた人の子の姿。


       __がこっちを見ている。



森へと消える刹那

ほむらの黒い影は、振り返った。

碓井うすい溫烱はるきを確かに見た。



碓井うすい溫烱はるき

ほむらの黒い影のかおた。



「・・・っ」



息がとまりそうになる。

かおた・・・確かに視た。


見れば、ほむらの黒い影。

視れば、ただただ懐かしい、その姿と顔で。







碓井うすい溫烱はるき

記憶は鮮明だった。


豪雨と、その轟音に

視界は真っ白になり。


濡れることのない豪雨。


あの日も、今と同じだった。













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