ー26ー ヒトの子ー追
手を引かれた人の子が
しっかりと
こちらを見た。
目が合った。
時のウツロイを
気に留メたことはナかった。
中空を漂いながら
ぼんやりと過ごしていた。
ある日
知る頃が
大きな、昔ノ出来事に
成り果てたことを知った。
知る山と森は
異形の
成リ果てタ。
なぜ、
そんな姿になってしまったか。
異形の狭間ニ喰われタか。
異形の森すら
喰らう遺物に
どうシテ
ヒトの子を
異形ノ森かラ
喰われていく。
断岩には
長い年月を掛ケて
文様を刻ム。
中空を漂いながら
奇妙な変化を遂げる森と山を
見ていた。
箱ヲ作ル。
箱ノ為の箱を作ル。
中空を漂うこちら。
ヒトの子の目。
ヒトの子は
泣かなくなってしまった。
ワタシの知る
ヒトの子は
よく泣くものだ。
知る頃の
ヒトの子ハ
よく泣く。
よく泣いて。
ソウダ。
ヒトのコ
笑ウんダよ。
遺物で作った
箱の為の箱。
に納めたヒトノコが
泣かない。
笑ワナイ。
人の子。
中空に漂うだけの月日は
長すぎたのか。
箱の為に作られた箱の中。
ヒトのコよ、
泣け。
笑え。
人の気配が残る山と森。
拾って
箱の為に作られた箱の中に
落とす。
拾って落とす。
拾って落とし。
箱の為に作られた箱の中。
連なる炎。
ヒトの子を
喰らい削ル。
じりじり。
じわじわ。
囁き。
ザワメキ。
ザワざワ。
ヤメロヤメロ。
ヒトの子が
痛いと泣く。
それじゃなイそれじャない。
ヒトの子が泣くのは
それじゃナイ。
ヒトのコは
痛イと泣くのは
チガウ!
違う!
ヒトノコを喰らいに
箱ノ為に作らレた箱の中に来る。
人の気配が残る山と森。
ヒトの遺物は消えない。
拾って
箱の為に作られた箱の中に
落とす。
拾っテ落とシ。
拾ッて落トし。
箱の中に、拾った箱を落とした。
よく似た姿が映る箱。
我が身とよく似た姿は
よく喋る。
我が身を
鳥と呼ぶ人の記憶がある。
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