-23-小綺麗な白いシャツ
当代である養父ー
時折
聞かされていた。
生前の先代は
あまり僧侶を思わせる服装では
過ごさなかった。
外見や衣装で
その能力は測れないのだから、と。
装束に身を包まないと
引き締まらないのは
それでは
修行が身についていない。
誰から見ても僧侶である、
もしくは
如何にも修行している装束は
余計な説明もいらないが、
それはそれで面倒事が多い、と。
「どう面倒なのか」
問うてみた、こともあった。
「面倒なものは面倒なのだ」
と、明確な返答は得られていない。
なんとなく判る気がした。
現に当代ー
年中、
草履の時もあるが、
スニーカーの時もある。
帽子よりもバンダナを好んだ。
『小綺麗な白いシャツ。
穏やかな表情の男性』
余り多くない先代の写真。
服装はいつも決まっていた。
既に鬼籍の人でもあり、
会う事は叶わない先代だが、
写真の人物は
なんだか親しみを覚えていた。
『小綺麗な白いシャツ』を選んでしまう。
先代は剃髪していなかった。
道すがら見かける事があったとしても
全く気に留めることもないだろう。
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