ー赤18-

 


印画紙の中の御堂。



     赤い目。



扉が鉄製かどうかは

写真ではハッキリわからない。


   

     まばたき。



見ていると判らないが

確実に開いている扉。


 


    ギ・・・ギギ・・・。



 

動けない。



息が吸えない、気がする。




赤い目が


 ぐるりと回り、戻ってきた時には

     

      赤い眼球になっていた。



間違いなく『視てる』


赤い眼球が。


落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け

        落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け

 落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け



赤い眼球ー赤い なにかの 目玉が見ていて


写真の中の 御堂の扉が開くたび


ギ・・・ギ・・・


錆びた鉄のような音がして


でも!

でもでも!


最初、ラジカセの雑音の中から

聞こえていたと思った ギ、ギギ・・・って音


背後から聞こえてる!


    落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け

  落ち着け落ち着け落ち着

落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け


落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け

       落ち着け落着け落ちけ落ち着け


落ち着け落ち着落ち着けち着け



落ち着け落ち着け落ち・・・



この位置の背後には

なにも置いていない棚と

壁があるだけ。


棚と壁の間に

暗幕が張り巡らされている。



なんで棚になにもないんだっけ?

前に担当教諭に聞いたことがあったっけ?


「すぐに戻るから」


なんで戻ってこないんだ!?














赤い眼球の中に

なにかが映っているのに気が付いた。


自分の姿。

その背後から、

ナニカが

こちらに手を伸ばす。














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