ー赤19-

 





赤い眼球の中でしか

確認できない。




     動けないのは  ち着け落ち着け落ち

    怖いから。     落ち着けけちけ着け


  落ち着け落ち着け    まばたきすら出来ないのに、

 落ち着けち着け落ち着け   赤い目はまばたきをする。






赤い眼球の中で

背後の黒い空間から

手が伸びている。


    目を見開いたまま

    凝固した表情の自分。


肩に手がー

    

  驚きに目が見開いて。


     これ以上 

    目は開かないんじゃないだろうか。


赤い

眼球の中の

自分の肩に手が置かれ



それを見る自分のほお

吐息が掛かる。

体温を感じる。

頬に頬を押し付けられたような

気がする。


体温は背後。

頬には感触だけがある。



赤い眼球の中。

自分の頭にも

手が置かれ手が

置かれ手が置か

れ・・・・


赤い眼球の中を見る自分の横に

感じる体温の持ち主は

いない。


見えない。


いるけどいない。


でもいる。



赤い眼球の中では

 

赤い眼球を見る自分の顔が

 背後から伸びた手で覆われて見えなくなって


それを見ている自分のところには体温だけあり。

体温が背後から横 

  横から前へと回り

    肩に置かれた手に力が入り


正面に回った体温が

真正面に来た。






       「すぐに戻るから」




真正面に来た

大きな赤い眼球の中


  手に覆われた自分の頭は

 背後の黒い空間に

引っ張られて消えて行った。


























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る