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修行僧の背中。
二人の会話を聞き。
彼女の鳴き声が大きくなった。
薄暗い山に
響いた。
よくがんばった。
よくがんばった。
お前は悪くない。
なにも悪くない。
よくがんばった。
大声で泣く彼女ー
それを慰めるように叫ぶ修行僧の声は
経文のように聞こえたと
店主は回想する。
修行僧は 彼女を担いまま、
寺の奥、
山の方へ消えていった。
店主は出迎えた別の修行僧に連れられ更に奥の廟へ行った。
払いと魔除けを施され、
帰る時には
お守りと札をいくつか持たせてもらった。
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修行僧が「あれ」と言ったのは
その姿を思い出すかのように「視えて」いたからだった。
「あれ」としか言えない。
名前が言えない。
「あれ」は 祓えない。
彼女が負う分を出来るだけ剥がして
厳重に封じるしか今は手がない。
修行僧はそう言った。
この世のモノでも、あの世のモノでもない。
自然のモノでもなく、妖怪やあやかしの類でもない。
「あれ」は違うモノだ。
修行僧はそう言っていた。
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その後の話ー
カメラ屋の店主にお祓いを頼まれた寺の住職から
経緯をある程度聞いている。
住職の寺では、
小振りながらも大切にしていたご神木が突然枯れてしまったそうだ。
3人目と店主を山まで案内するー
住職も十分関わったということなのだろう。
「身代わりになって 守ってくれたのだ」
住職は言っていた。
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