平田 南 回顧(4)
医師の言葉通り、1週間後には傷は完治していた。
更に3週間、病院でリハビリを行ってから退院となった。
退院時には、班長が迎えに着てくれた。
ちなみに、班長を始めとした班員達がお見舞いに着てくれたけど、班長が一番多く来ていた。
退院後、官舎の自室では無く、駐屯地の大隊長室を真っ先に訪れた。
大隊長からは、退院したら3日以内に一度訪れる様に連絡を貰っていたので直行した。
大隊長室を出ると、まだ班長が居た。
何を言われたのか気にしていたので、
「大隊長からは、現場復帰時に所属班が変わると言う話だった。
あと職場復帰は来週からで、当面の間、事務処理と現場復帰に向けた自主訓練だそうだ。
現場復帰に向けた自主訓練に、駐屯地の施設を使った訓練の許可を貰えた」
と伝え、礼を言って別れ、鈍った身体を動かす為訓練室に向かう。
現場復帰までの間、事務所で事務仕事をし、空いた時間と休みの日を使って自主訓練を続けた。
現場復帰の日、指定された時間に大隊長室を訪れると、新しい班の班長が居た。
簡単な挨拶を交わした後、班員を紹介するという班長に続いて模擬戦が行える訓練所に移動した。
そこに居たのは、3人の男女。
副班長で、班の作戦参謀兼前衛攻撃役の山本
盾役の
後衛攻撃役の
そして、班長で超攻撃役の
それに私が加わるという。
私が言う事では無いが、バランス悪く無いか?
私の紹介と挨拶を終え、各自の自己紹介が終える。
久喜さん達は夫婦で、去年結婚したという。
えーと、自分には関係無い事だから、良く憶えて居ないけど、確か新婚さんと言うんだったかな?
副班長は、自身の自己紹介の時は挙動不振だったのに、全員の自己紹介が終わった途端に距離を詰めて来て、
周りは呆れ顔をしていたから、普段からこういう感じの人なんだと理解する。
班長が、副班長にチョップを入れ黙らせる。
その後、何故か班長と模擬戦を行う事になった。
班長は、訓練用装備にロングソードを持っている。
対する私は、訓練用装備に右手にショートソード、左手に
誰かが回収していた様だったが、私に渡されるとは思っていなかった。
戦場での取得物は、拾った者に優先権があるが、基本的に部隊や班で管理されるものだ。
それなのに私の元に来るとは思ってもみなかった。
コレを手渡されてたのは、職場復帰後すぐの自主訓練中だった。
なので、自主訓練中に色々と使い方を研究した。
それと、ロングソードからショートソードに変えたのは、この盾を持っていると左手の補助をやりづらいから、右手だけで余裕を持って振り回せる物に変えた。
模擬戦は、
そこから状況に応じて、不可視の刃込のショートソードによる斬撃か突きを行う。
その攻撃を全て躱すなんて、なんて壊しがいがある存在だ。
その後、何合も打ち合いを続ける。
頭が冴える。
感情が消える。
ああ、数手先の手合が見える。
それに合わせた剣戟を撃ち出すも、予測された手合が覆される。
予測修正。
太刀筋変更。
予測修正。
技工変更。
予測修正
予測修正
予測修正
・
・
・
どれ程打ち合ったのか分からないが、予測と僕自身の技能を超える一撃を貰い倒され、意識が断ち切られた。
気が付くと医務室のベットに寝かされていた。
「お、起きたな。気分はどうだ」
声がする方に顔を向けると、腕を組んで椅子に座っている班長がいた。
「大丈夫です。問題は有りません」
と答えると
「そうか、なら良かった。
今回は、平田の力を測る為、ちょっとやり過ぎたからな」
と言うと立ち上がり
「平田が目を覚ました。診察頼むわ」
と言って、由寿さんと入れ替わった。
「どう、体調や気分が悪いところは無い?」
と聞かれので
「どこにも問題ありません」
と答える。
「そう?平田さん、あなた普段からきちんとご飯を食べてる?」
と尋ねられた。
「食料は、きちんと摂取しているので問題は有りません」
と答えると、首を
「普段、何を食べてるの?」
「配給された携帯食です」
と答えると、驚いた表情で
「え、ひょっとして普段からずーと?」
と問われたので
「日常的に食しています」
と言うと両方を掴まれて
「それだけって事無いわよね?」
と鬼気迫るで言われたが
「それだけです」
と答えると、肩から手を話し右手を額に手を当て上をうめきながら仰ぎ見た後、また私の方に向き直り
「駐屯地や官舎なら、駐屯地の食堂を利用出来るのに、何故利用しないの?」
と真剣な表情で聞いてくる。
正直、理由なんて無い。
ただ、エネルギー補給を行うだけなのだから、効率的な方法を選んでいるだけだ。
私が沈黙しているのを、答えに窮している理解したのか呆れ顔で
「はあ、どうせ、効率的な方法を選んでいるとか言いそうね。
携帯食は生きるために必要なエネルギーと栄養は十分あるけど、決して美味しい物では無いでしょ。
確かに以前より美味しくなってはいるけど、常用で食べるには不足している栄養も多いのよ。
それを理解している?」
「生存に必要なエネルギーと栄養が取れれば問題まりません」
と答えると
「あなた味覚大丈夫なの?」
と言われ、何故かそのまま病院に連れ込まれ、味覚検査を受ける事になった。
検査の結果は、問題は無かった。
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