新メニュー

帰国の次の日。早速新メニューについて考える。


いただいた果物は主にかんきつ類。


日本でいくとブンタン、オレンジ、ゆずというところ。


今回はデザートがメインになりそう。


パフェやアイス、ジュースかな。


ミキちゃんが氷を作れるからよかったけど……仕事増やしちゃうなぁ……。 とりあえずはジュースとジャムにして様子をみることにする。


ちょうどミキちゃんがお店へやってきた。


「お姉様!おかえりなさい!」


相変わらず勢いよく飛びついてきた。


「ただいま。カイリ様やマリーさんの方はもう大丈夫なの?」


「はい。いつものことですし!魔法も頑張って鍛錬していましたわ」


「頑張っているのね。ミキちゃんにお土産を渡さないとね。銀細工の髪飾り。気に入ってもらえると嬉しいんだけど……」


「ありがとうございます!お姉様からいただけるなんて。宝物にしますね!」


「そこまでしなくても使ってもらえるだけで嬉しいかな」


「肌身離さずいつも着けますね」


「ありがとうね。そういえばあれから氷魔法の方はどうなの?」


「はい。安定して量も大きさも色々作れるようになりました」


「流石ミキちゃんね。頑張ってくれたのね

でも根を詰めすぎないようにね。まだ器やトッピングも決めないといけないからね。

それで今回の旅行でコチ国から果物をたくさんいただいてね。トッピングもだけデザートメニューも考えようと思っているの。とりあえずはジュースとジャムを作ろうかなと。で……三種類あってね。この大きいのはブンタン……?」


「それはサボタンですね」


「サボタン……。これはオレンジ?」


「そいつはオレカンだナー」


「オレカン……。この小さいのはユズ?」


「ユノスですね」


「ユノス……これは日本で聞いた名前に似ている」


「ありがとう。それぞれなにか料理とかあるのかしら?」


「んーこの国ではあまりないですね。栽培はコチ国のみなので他の国では使いませんね。持ってくるのが大変なので……」


 船輸送とかはどうなのだろう?時間はかかりそう。ドラゴンの輸送は速いけど費用が高くなりそう……交渉してみようかな。オレカンはたくさん貰ったのでジュースとして提供をしてみる。


ミキちゃんのかき氷は器やトッピングのことで開発が遅れてしまい夏を過ぎそう。日本では季節に関係なくかき氷を食べる人もいるけどまだかき氷自体が根付いていないので来年に持ち越すことになった。


オレカンジュースは好評で勢いをみていると早く在庫がなくなりそうなのでデンさんからポメロ様に話をつけてもらいドラゴンの定期便に少量ずつ輸送してもらえることになった。多くはないので数量限定になりそう。


パフェも考えたけど冷やすことができなさそうなのでしばらくは無理そう。


「ミキちゃん。氷はどれくらいの量が作れそうです?」


「そうですねぇ……ちょっとやってみますね」


出来た氷は以前のものより透明。透明な氷は溶けにくいので使いやすい。量は5分で通常サイズの物がバケツ一杯ほど。一時間くらいは作れる。それ以上は疲れてしまうけど純度を落とせば二杯分できるみたい。


「ありがとう。これ以上は負担が大きいね」


「ですね。毎日は厳しいですね。寒くなればもう少し作りやすくなると思います。そういえば冬にできた自然の氷は食べれないのですか?」


「ゴミなどが入らないようにしておかないとダメですね。あと氷の厚さもある程度必要ですね」


「あーあまり厚い氷はできないですね……」


「そっかぁそういえば北の国やトークオ王国より寒い国から氷を取り寄せたりはしないのですか?」


「んー出来るとは思いますが……費用がかなりかかりそうです」


「結局輸送費なのね……」


「そうですね。そこまでして必要かどうかということですね。もしかするとギルドで聞けば氷のことに関してなにかわかるかもしれませんね」


「ギルドか……よし。今日は暇そうだし、ちょっと行ってきますね」


「はーい。いってらっしゃーい」


「お店はまかせてください」


「ありがとう。ミキちゃん。ナナさんよろしくね」



「こんにちはー」

「紬さん。こんにちは。今日はどうかされましたか?」

「少しお聞きしたいことがありまして……お店で食品の保存をしたいのですが保管庫だと温度が高いのです。冬になると水が凍る氷を一年中保存しながら食品も一緒に冷やしたいと思っていまして」


「詳しく聞こうじゃないか」


 ギルドマスターのトウギさんが出てきてくれた。


「食品の保存か。たしかに今ある保管室だけじゃ保存できる期間もそんなに長くはできない。その氷があれば長持ちするのか?」


「はい。かなり長くできるようになります。本当は食品も凍らせることができればさらに長持ちできるのですがさすがにまだ無理だと思うので……」


「ふむ。たしかに食品を凍らせるのは無理だな。あと氷や氷で冷やす食品はどうやって保存するんだ?」


「そうですね。近くに洞窟があればその中に小屋を建ててワラなどを敷き詰めて氷を置いていく方法がありますね。洞窟がなければ地下室を掘り同じようにすればできると思います。それこそ土魔法でその小屋を作れれば便利かもしれませんね」


「洞窟か。ここいらにはないな。地下なら水道があるからその通路などは利用できるかもしれんな。外よりは涼しいしな」


「なるほど地下水道ですか。保管庫に使えそうなスペースはありそうですか?」


「そうだな。少し調べてみよう」


「お城にならうってつけの場所があるよ」


「お城にですか?」


「うんうん。各国からお酒とか献上されるからそういったものを保存するために地下室を作って入れてあるんだ」


「それって各店舗や各家庭に作るのは難しいのですか?」


「地下室ねぇ。地下水道を掘るときにサホロ国から土魔法の技術者を呼んで手伝ってもらったけどうちの国だけではまだできそうにないんだ」


「魔法って国別みたいなものなのですね」


「うん。また詳しく話すよ」


「で、どうしてさらっと内藤さんが会話に入っているのですか?」


「話は聞かせてもらった」


「……例えばサホロ国の技術者を呼んで各家庭に地下倉庫を作ってもらうことは可能ですか?それとサホロ国や他の寒い国から氷を輸入することはできますか?」


「技術者は呼べるけど費用がどれくらいか聞かないとね。氷の輸入はできるけどこれも費用次第だね。輸入して地下に保存するのか。すごいこと思いつくんだね」


「いえ。氷室といって昔からある氷の保存方法ですよ。学校でも習ったはずです」


「んーあまり覚えがないな。昔のことだしなぁ。それにこの国ではそれほど食品保存について考えてなかったからね」


「私たちは普通に冷蔵庫や冷凍庫を使ってましたからね。さすがにこれを再現するのは無理ですね」


「アレは無理だろうね。まぁ冷蔵庫は置いといて氷室とかは面白そうだしちょっとサホロ国に連絡をしてみるよ。あとは北方諸国にも氷の輸出ができる国がないかも聞いてみるね」


「陛下。ギルドの方でもお手伝いしますのでなんなりとお申し付けください」


「うん。その時はよろしくね」


「お二人ともよろしくお願いいたします」

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