雨降りとブラシ

「ツムギーー! たすけてーー!」


 ハチくんが呼んでいる。急いで駆けつけると、髪の毛にヒメが絡まっている。


 ハチくんの髪はフェンリルのときのなごりで腰くらいまで伸びていてウェーブがかっている。連日の雨で湿度が高くハチくんの髪の毛は絡まってそこに葉っぱがくっついていた。それにヒメが飛びついつき巻き付いてしまったらしい。


「これはなんとも……器用に引っかかったね」


「ワライごとジャナイー。ツムギどうニカしてー」


 まずはヒメを救出。ハチくんを座らせてブラッシングをする。かなり絡まっている。ハチくんはまだ自分で頭を洗うことができないのでシルフィと交代で洗っているけどリンスやトリートメントがないのでどうしようもできない。ひたすらブラッシング。ハチくんが終わるころ猫たちも順番待ちのように並んでいる。今日はミキちゃんも来ているのでナナさんと三人でみんなのブラッシングをする。


 まずは目の粗いクシで全体をブラッシングして絡まっている毛をほぐす。次に少し細かいクシでなめらかにしつつ余分な毛を取っていく。最後は全身をブラシで整える。ブラシは色々な種類があって、金属で先端が丸いもの。先端が丸くないもの。豚の毛でできたもの。木の繊維でできたもの。色々ある。好みもあるのでようすをみながらブラシを変えていく。強めが好きな子には少し強く。やさしくがいい子はそっと。ブラッシング自体が嫌な子もいるのでごまかしながらブラッシングをする。


 猫の毛は生え方にも種類がある。


 日本猫を代表としたダブルコート。これは硬く張りがある毛質のオーバーコートとその下に短くてやわらかいアンダーコートが生えている。寒い地域でも生活できるようになっていてふかふかしている。

 シングルコートはアンダーコートの代わりにオーバーコートと同じくらいの長い少しやわらかい毛が生えている。シャム猫やベンガル猫とか。長毛の猫でもシングルコートの子はいる。その子に合わせるブラッシングというのも大事。


 長毛の子は毛が絡んで塊になってしまうこともあるので頻繁にブラッシングしてあげるのがいい。特に胸や背中にできやすいので気をつけないといけない。短くても毛玉はできますけど……。


暖かくなってきているからちょうどいいタイミングだったのかもしれない。

あと少しで夏になる。猫たちも少し早く涼しくすごせるはず。

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