保護猫カフェある日の営業日
開店から程なくしてお客様の来店
「いらっしゃいませ。ようこそ保護猫カフェへ」
「こんにちは。初めてきたのですがどうすればいいですか?」
「ありがとうございます。猫エリアへ入るのでしたら、猫ちゃんの感染予防のために入り口の手洗い場で手洗いと手足の消毒をお願いいたします。お荷物は横の棚に置いてください。貴重品は身に着けておくか、かごに入れて中へお持ちください。奥のカウンターでご注文をおうかがいします」
まずカウンターへ案内をする。メニューをみせる
「お飲み物などのご注文はこちらでうかがいます。当店は食事だけでも大丈夫です。お飲み物と焼き菓子は猫エリア内にもお持ち込み頂けます。お会計はお店を出るときになります。ご注文されますか?」
「わかりました。少しメニューをみますね」
お客様から声がかかるのを待つ。少したつとお客様と目が合う。
「はい。お決まりでしょうか? ホットココアとクッキーですね。かしこまりました。カフェエリア、猫エリアどちらで過ごされますか? 猫エリアですね。かしこまりました。ではご案内をいたします」
注文書をキッチンへ渡してから猫エリアへの扉を開ける。わぁーっと猫たちが駆け寄ってくる。
「みんなごめんねー先にお客様をお席まで案内させてね。では、こちらへどうぞ」
席へと着いてもらうと注意事項の紙を渡す。
「こちらに当店の注意事項が書いております。内容としましては
※抱っこは猫さんが寄ってきてから。
※おもちゃは好みがあるのでどれが好きかいろいろ試してほしい。
※猫さんは専用の食べ物があるのでおやつ等をあげなくて大丈夫。
※急に触ると怖い子もいるのでゆっくり触ってほしいこと。コツは下からそっと触っていくといい。
※どうしても爪が出てしまうことがあるので怪我をするかもしれない。その際は怒らずスタッフを呼んでください。
※猫は気ままなので近くに来るときもあれば遠くにいるときもありますが無理に移動させないように猫さんの気のむくままに付き合ってほしいこと。少し多いですがよろしくお願いいたします」
守って欲しいことは伝えたいのでここはしっかりとお話をする。
「わからないことなどあれば気軽にスタッフに聞いてくださいね。猫ちゃんの似顔絵と名前などは壁に貼っていますので見てくださいね。それではお飲み物ができましたらお持ちするのでご自由に過ごしてくださいね」
壁にはスタッフや猫たちの似顔絵と説明が貼ってある。
スタッフ
ツムギ……オーナー
デン……猫スタッフ(ケット・シー様)
ナナ……ホールスタッフ
ミキ……ボランティアスタッフ
ジェフ……キッチンスタッフ
ハチ……ホール、キッチンスタッフ
保護猫
ウメ、うず、エイミー、かえで、カカオ、しずか、じろさん、ジョー
タム、タン、ツカサ、ハン、ヒメ、ヒョウ、ぶちょさん、ベス
まい、メグさん、メイ、もくちゃん、リン
(フェンリルさんは獣人姿になって働いてもらっている。名前はフェンリルだと大騒ぎになりそうなのでハチくんと呼ぶとこにした)
説明が終わると猫たちが一斉にお客様に群がる。飲み物などの用意ができたのでキッチンから受け取りお客様にお渡しする。
「ご注文のホットココアとクッキーです。猫ちゃんがイタズラするといけないのでケースへ出し入れをお願いいたします」
ここまでが大体のお客様の案内の流れ。あとは基本的にお客様に自由に遊んでもらう。
ナナさんも他のお客様の案内が終わったみたい。カウンターに戻り一息つく。ここからは中の様子がよく見える。お客様も猫たちも自由に楽しんで過ごしている。その光景をみていると。ナナさんがじっとこちらを見ていた。
「どうかしたの?」
「はい。紬さんが幸せそうだなと思いながら見てました」
「うん。とても幸せよ。みんなのおかげでこの時間があるもの。ナナさん。ありがとうね。しかし時間がたつのは本当にはやいものね」
保護猫カフェをはじめてからあと少しで一年になる。ハチくんもここになじんできた。普段は獣人の姿で接客をしてくれている。猫たちはデンさんの説明で安心したのか怖がる様子もなくとても懐いている。ハチくんもまんざらではなさそう。そしてデンさんはすっかりマスコットキャラになっている。見た目が可愛いためか神様だからなのかお客様にも人気があってとても愛されている。
「ツムギ。このミセはモウすぐイチネンだろ?」
「えぇ。もう一年たつのね。あっという間だったわ。デンさんも言葉が流暢になってきたわね」
「マァな。いつもタクサンはなすカラな」
本当に上手になった。デンさんが人語を上達したように私もたくさん猫語をしゃべっているといつか猫と話せるようになるのかな。みんなとお話できたら楽しいだろうなぁでも仕事にならないかも。想像しながらニヤニヤしていると
「つむぎシゴトさぼッテる」
そういって頭の上にハチくんがアゴを乗せてきた。
「ちょっとハチくん。それやめてって言っているでしょ」
「ちょうどイイたかさなのがワルい」
ハチくんはお客様やスタッフ、猫たち、デンさん対してとても穏やかに優しく接していてとてもいいのだがいつもこんな調子だ。反抗期みたいなものだろうか? 少し悲しいけどツンデレの可能性もあるので我慢している。
「はいはい。ちゃんとやりますよー。で、デンさん一周年の話だっけ?」
「アァ。ナニかスルヨテイあるのカ?」
「うーん。そうだね。何かはしたいけどいいアイデアがないのよね」
こういったイベントを考えるのは実は苦手。一度思い浮かべばスラスラ進むのだけどそれまでが大変。イベントかぁ。東京でやってたときはよそのイベントのまねごととかでごまかしてたけどさすがにここでは何かしないと……。
「考えてみるけど、みんなもなにかアイデアがあれば教えてね」
「はーい。りょうカーイ」
みんなの気のない返事ばかり返ってきた……どうしよう……。
★登場人物
ハチ:フェンリル。人化してお手伝いをしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます