第5話 幸せタッグ「私たち」

どんな漫画雑誌に採用されるかどうか…

なんだか緊張もするし、期待もある。

唐揚げ先生と泊まりでいろいろ作品を推敲して、意見を聞いて、書いて、描いて

やっと出来た作品だ。

あの唐揚げ先生と協力関係になるとは思ってもなくて。

期待に応えられるかどうかの不安もある。

「五十嵐先生!!朝!!でっすっ!!」

バシーン!

腹いってぇぇ!

「何すんの!」

「なかなか起きないからさ、しょうがないじゃん、許せ」

「別の起こし方…」

しょうがない…

「朝ご飯食べよ」

なんかいつのまにか、一緒に暮らしてるみたいになってる。

けど、唐揚げ先生が勝手に泊まりに来てるだけなんだよなぁ。

俺は…嬉しいけども…




「ありゃ?まだ5時?」

翔也さん寝てるなー…

心の中で名前を呼んでみる。

本人を目の前にすると、五十嵐先生としか言えなくなるけど。

心の中くらい…いいよね。

…名前を呼ぶとなんかドキドキする…

隣に翔也がいるだけで。

「しょーや…、、、しょーやー…」

起きないな…

この家の雰囲気が好き。

私はいわゆる高層マンションに住んでる。

日差しが強くて、朝よく、起きれる。

でも、強制的に起こされる感じなんだよな

でもここ、優しく起こしてくれるから好き。

あと、翔也がいるからかな。





「美味しい?」

「美味いね」

「よかった」

意外と家庭的なんだよな。

今日恥ずかしい夢を見てしまった。

唐揚げ先生が俺のことを名前で呼んで起こしてくれる夢。

背中を叩くんじゃなくて

優しい声でね。

密かに心の中で望んでるのかな。

名前…なんだっけ

呼んでみようかな、いや、変か

でも、一緒に寝てる中だし、いいかな

「なあ」

「何?」

颯、颯だ、思い出した。

「颯、、」

「…何?しょーや」

な、なんで平然と

「ん?どしたのしょーやー?」

「あはっ」

「ふふっ」

「なんで動揺してないんだよ」

「構えてたから」

焦ったいや

俺は

颯が好きなんだ

「もう、付き合うか」

「いいね、一生しょーやと漫画描いてたい」









『結婚しましょうお姫様』『はい…』

こうして暴力を振るわない勇者は姫と結ばれたとさ…

『俺』と『私』と重ねて物語を描いた

描いて書いて書きまくった。

本当に出会いって素敵だな。

出会わなかったら

この物語も生まれてなかったし

賞も、みんなが認めてくれることもなかったら

出会ってなかったら

俺たちは死んでた


「あなたに会えてよかった」

「同じこと言おうとしてた」

「ほんとに?」

『俺』と『私』の物語は同時に





       終わる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

オワコンタッグ @tensuke0628

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ