第3話オワコン作家「私たち」

カフェ…久しぶりだな…

唐揚げ先生のお誘いでカフェに来ています。

唐揚げ先生と2人でお話し出来るのはとても嬉しいことです。が

沈黙がしばらく続いていて

でも

それが当たり前みたいに、気まずくはない

2人で黙っていることが普通のことのように思えてきた。

あちらも静かな方が気持ち楽だろう。

そう考えるようになると

さっきまで味がしなかったカフェオレに甘さを感じた。




五十嵐先生に会えるとは思っていなかった。

勢いで誘ってみたけど、いざとなると喋ることがあまりない。

何に興味があるんだろう。

五十嵐先生のこと知ってるようで知らない。

ファンなのに。

…コーヒー美味しいな。

お気に入りのお店が出来てしまった。




興味ありそうな話題…なんだろう…

唐揚げ先生、俺ファンなのに何もわかってないな。

…唐揚げ先生、俺のファンって言ってくれてたよな…もしかして…!




五十嵐先生、私のファンなんだよね…

もしかしたら…!


『あの!』


「あっ。」 「おっ…」


「すいません…先にどうぞ…」


「あ、いや俺は後でいいんで…」


「じゃあ…あの五十嵐先生って漫画に興味あったりします…?」

「します!」

「食い気味!?」

「ああ!すいません…」

「いや、いや。五十嵐先生、漫画が好きだったなんて。小説家なのに。」

「もともと漫画家になりたかったり、したんですよ…絵の才能がなくて小説家で妥協した感じです。」

「妥協なんて!私は小説家さんみたいな素敵な物語が書きたかったんです!だけど絵が上手いと周りに言われたので漫画家に…」

「…小説好きですか?」

「好きです!文字だけで表現して素敵な物語なんて作れるなんて素敵だなって!」

「こちらも絵で力強く表現できてすごいなと思ってたんです!」


「逆なら

     『よかったのに』

                」

「…同じこと思いましたね。」

「思ったより、似たもの同士なのかも。」

お互いに欠点を補えたら…もう一度返り咲けるかな…人気者に。



もう一度だれか有名な人に紹介してもらえるかな。

ちやほらされるかな。

みんなに


多分同じこと思ってる


    「私」と「俺」と

「手、組みませんか?」

「いいんじゃないですか?」

「俺たちは、オワコンじゃあねぇ!」

「まだやれるってみんなに!証明しましょう!」

「なんて名前のタッグにする?」

「もういっそ『オワコンタッグ』にしましょう!」


「俺」と「私」は一度死んだ。

新たな物語を

また作ろう。

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