エピローグ

 あなたは、ここにいた。

 ここは白い光に包まれた空間だった。

 意識のように空白な場所だった。

 あなたは誰かの腕の中にいる。胎児ように満たされている感覚が今のあなたの全てだ。他の感覚はあいまいで何も分からない。

 あなたを抱きしめる誰かは、耳元でそっと囁く。

「お疲れさまでした。あなたは見事に魔王を退けました」

 その一言で、あなたは思い出す。

 なぜ、ここに居るのかを。

 あなたは直前の記憶を思い出し、それに連なる感情がフラッシュバックする。それは激しくあなたは思わず体を暴れさせた。

 抱きしめる誰かの腕は、あなたを落ち着けるように優しく背中を撫でる。一撫でごとにあなたの中の感情が落ち着いていく。感覚が満たされていく。

 落ち着いたところで、また声が告げた。

「ありがとうございます。本来であれば返礼をすべきなのは分かりますが、何もできない私を許してください。あなたと交わした最初の約定通り、何の返礼もすることが出来ません。高貴な志を持つあなたに言える言葉は先の言葉だけなのです。ですが、まだ、魔王の侵略は続いています。もし、あなたさえ良ければ、再び勇者として立ち上がり、別の世界を救っていただけませんか」

 あなたは言葉をただ聞く。

「かの地へ赴く際に、魔王などの要因により記憶の一部がなくなるかもしれません。もちろん、今までに培った技などは消えることはないでしょう。どうなされますか?」

 選択の自由は誰にでもある。悩む時間も好きなだけある。

【だからこそ、あなたは決断しなければならない】

①勇者として戦う→プロローグへ移動

②もう戦わない→本を閉じて、現世へ戻る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ユウYOUゆう勇者 オススメ @9x445xxvdll

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ