第9話 授かったスキルは凡庸で⑨

(せめてランク4以上であればマリーと一緒に行くのは楽だけど、、、)


カイは神父のところまで歩いて行きながら考える


ランク5以上のスキルを授かったものは王都の特別養成所・・・王成所に召集され、いわゆる英才教育を受けさせられる。年数は12年。

王成所に入学することは大変名誉とされ、17歳になると通っているほとんどの者が要職につくという。まさにエリートである。

ランク4であっても試験さえクリアできれば王成所に入れる可能性はあるが、ランク3以下だと今までに前例がない


神父がカイに向かって手を向け、13度目になる言葉を紡ぐ


「われらが神クラウディア様。この者に祝福をお与えください」


ピカッ!


カイの体が一瞬だけだが眩しく光った


【カイにランク外『体重操作』が与えられました】


(・・・やっぱりか)


わずかな期待を見事に裏切られ、カイは落胆する。


そのまま、教会の外に向かって歩いて行く。そばにいたレイチェルが声を掛けようとして言葉をのみ込むのが雰囲気で分かった







ウォォォォォ!キャァァァ!!


教会を出ると周りに集まっていた皆がマリーを中心に興奮を隠せず大盛り上がりで叫んだり拍手していたりしている


カイはマリーに声を掛けようにも人混みが邪魔で近づけない


(仕方がない。ひとまず今日は大人しく帰ろう)


マリーに声を掛けるのは諦める。

教会を離れていくカイに気づくものは誰もいない。


(どうすればいいか考えないと)


このままでは、マリーとの約束が果たせない。来たときは気分が良かったが帰りは全く正反対の気分である


(まずは、スキルの内容を把握しないと)


カイはネガティブになる気分をポジティブにしようとし、まずは自分のスキルの把握が必要だと思い至る


(確か、自分のスキルを念じるんだったな)


うろ覚えであったが、スキル把握方法を何とか思い出し、自分のスキルを念じると


【ランク外スキル『体重操作』・・・体型を変えずに体重を自由自在に操作する。】


声が頭の中に聞こえた

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