第8話 授かったスキルは凡庸で⑧

名前を呼ばれたマリーはカイを見る。


(いってらっしゃい)


カイは黙って頷くと、マリーも頷いて神父に近づく


「われらが神クラウディア様。この者に祝福をお与えください」


神父がマリーに手を向けると、


パァァァァァァ


先程までとは比べ物にならないくらいの眩しい光が教会内部を覆いつくした!


【マリーにランク5『大剣術』が与えられました】


(まぢか!?)


カイはある程度予感がしていたとはいえ、マリーの素質に驚く。さらに追い打ちをかけるかのように、


【マリーにランク6『癒やしの手』が与えられました】


衝撃の言葉が響いた。


(え、、、)


カイには何がなんだかわけが分からなかった。

当事者のマリーは尚更分けが分からずおろおろしている


「こ、これは何と言うことだ。よもや人族からランク6が現れるとは、ましてはスキルを2つ授かるなど・・・」


神父の動揺した声が教会に響く。

レイチェルたちシスターは声も出ない


「マリー。いやマリー様。教会の外の皆もこの奇蹟を目の当たりにしたいでしょう。外に向かわれてください」


神父の言葉にマリーはなんとか頷き、外に向かう。そのときにもう一度カイと目があった


(どうしよう。怖いよ、カイ)


マリーはこれから起こるであろう先の不安で目を潤ませていた


(大丈夫。まずは落ち着いて)


カイは強い覚悟を持ってマリーを見ると、マリーは少しだけ落ち着いたのか教会の外へ歩いていった


ワァァァァァ!!!!!


先程までの歓声とは比較にならないくらいの声が教会の外から聞こえてくる


無理もない。ランク5だけでもとんでもない偉業なのに、2つのスキル持ち。しかももう一つは人族初のランク6である


「・・・」


動じた姿などを見たことがない神父だが、この時ばかりは落ち着くのに時間がかかった。

とんでもないことが起こったのだ。この後、やることが目白押しだろう。速やかに行動しなければ王都から叱責を受けるどころの話ではない。


「13人目。カイ」 


ついにカイの名前が呼ばれた。

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