第7話 授かったスキルは凡庸で⑦

「神父様がいらっしゃった」


レイチェルとは異なるシスターが鈴を鳴らし、その後ろを神父が続く

神父が教会の中央に来ると停止し、静かに話し出した


「今日という日を今年も迎えられて大変嬉しく思います。13人の子どもたちよ、これより神授の儀を執り行います。さあ、お祈りを」


子どもたちは一斉に、目を瞑る。

想いの強さがスキルの強さにつながると教えを受けてきた子どもたちは一心に祈り始める。

ある程度時間が経ってから、お祈りを切り上げ神父が1人目を呼ぶ


「1人目、アレックス」


神父に呼ばれ、男の子が目の前まで移動する。神授の儀の間は、不用意に声を出してはいけないことになっているため、返事は行動で示す。

目の前に来た男の子に神父は手をかざし、


「われらが神クラウディア様。この者に祝福をお与えください」


言葉と共に、アレックスの体が金色に包まれる。


【アレックスに、ランク3『剣術』が与えられました】


光が収まるとどこからか声が聞こえる


(これが、世界の声か。初めて聞いた)


カイは、噂に聞いた世界の声に少し感動する


「素晴らしいスキルですね。これから先の人生に幸多いことをお祈りします」


神父のことばにアレックスは黙ってお辞儀をし、教会の外に向かって歩いて行った。


ワァァァ!!


教会の外から大歓声が聞こえる。


(無理もない。ランク3といえば上位スキルだから)


【イリアに、ランク2『算術』が与えられました】


【オリバーにランク2『話術』が与えられました】


【・・・】


【・・・】


順々に、子どもたちが呼ばれ、スキルを与えられていく。


9人目も終わり10人目であるリックがいよいよ呼ばれた。リックは緊張が隠せないのか少しよろけながら神父の前に移動する


【リックにランク3『魔術』が与えられました】


神様はちゃんと見ているのか、リックが望んでいた魔法を使えるスキルが与えられた。リックは、喜びを隠しきれず、お辞儀をしたら足早に教会を後にした


(リック。よかったね)


カイも我がことのように喜ぶ。


次は、ザイルの番だ。


【ザイルにランク3『拳術』が与えられました】


流石に、ランク5の大剣術ではないが、良いスキルを与えられたザイルも喜びが隠しきれず、素早く教会を後にする


「12人目。マリー」


ついにマリーの番になり、カイは自分のこと以上に緊張していることを感じていた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る