第5話 授かったスキルは凡庸で⑤
「さあさあ、安いよ安いよ!」
「お、にいちゃんこの串焼きくってってくれよ」
「お嬢ちゃん、この宝石が似合うんじゃないか!」
教会に近づくにつれて、出店の数が多くなってきた
神授の儀は年に1回の大きな行事のため、5歳になる子どもだけじゃなくその子の親や兄弟姉妹、親戚など沢山の人が集まってくる
人が集まればチャンスとばかりにそこを狙った商人も集まってきて教会の周りは出店が建ち並び、お祭りムードになる
「毎年ここは凄いなぁ」
賑わいを楽しみながらカイは教会に向かって歩いていく
美味しそうな香りに誘われそうにもなるが余計なことに使うお金のないカイはぐっと堪えながら教会に進む
後ろからカイを見たものがいれば左右の出店に近づいては真ん中に戻るのを繰り返しているのがよく分かったであろう
「あ、カイくんきましたね」
出店の誘惑に堪えながら歩くといつの間にか教会前に来たのかシスターが声をかけてきた
「レイチェルさん、おはようございます」
シスターに気づいたカイは挨拶をする
「はい、カイくん。おはようございます」
レイチェルはにこやかに微笑み挨拶を返す
20代中盤位のはずだが、10代といっても通りそうな淡い青色の髪をした女性だ
「さあ、中へどうぞ。カイくん以外の子はみんな集まってるよ」
「え、ぼく遅れちゃいましたか?」
レイチェルの言葉に少し慌てるカイ。レイチェルは苦笑しながら
「いいえ、まだ神授の儀が始まるには時間はありますよ。楽しみで仕方がない子どもたちが早く来ちゃったの。まぁ、毎年のことなんだけどね」
「そうなんですね。遅れてなくてよかったです」
カイはほっと胸を撫で下ろした。神授の儀は基本的に町に住む5歳になった子どもたち全員が集合してからしか始めないため。遅刻したとなればみんなに何を言われるか分かったもんじゃない
ちなみに神授の儀の時には何故か誰にも病気にならないため、これまでの歴史の中で子どもたちが全員集まらなかったことはないらしい
「おじゃまします」
レイチェルについて行き、カイは教会の大きな扉をくぐる
いよいよ神授の儀がはじまる
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