第3話
黒の
全ての者が漆黒に染まるような真っ黒で真っ暗大地に、その王国は建っていた。
黒の
黒い大理石で創られた城は、正に誰にも染められることを許されないほどに黒く、美しかった。
その城の奥の玉座に胡坐をかくのは、この世で最も残虐で美しい女王だった。
黒の王〈ドルヴェールオルガ>。
それは、残虐かつ賢者のような豊富な知識を持つ王たちの王。この世界最強と呼ばれていた。
表情を変えぬその美しい顔に手を伸ばした。
「嗚呼。また死んでいく」
死人が増えれば領土が増える。そんなことが毎日毎日繰り広げられる。
王にはわかっていた。死んでいく兵士たちの気配、感覚、感情すべてが。
だが、今日は違った。一つ珍しい者がいた。
「一人死にぞこないがいる。何故死ななかった?死ぬならば自決すればよかったものの」
黒の世界。美しい世界。そんな世界を存続しつづけるには、皆死んで、死んで、死んでいくしかないのに。
「何故生きている?どうせまた生き返るというのに」
この世界は、混沌で、創られている。
死んだ兵士は、再び、王の手で蘇る。
王たちには特別な力があった。
それは、死んだ兵士をその手でもう一度生み出すができるからだ。
今まで感じたこと、記憶したこと、全てを忘れ、新たな兵士として蘇る。
王には難しいことではなかった。最初からそれを持っていたのだから。
王が 再び 手を動かせば 新たな兵士が その手で生まれいづる。
「何が起きているのだろうか?」
傷ついた兵士は癒すことなんてできない。傷つけば最後、死ぬだけしかないのだから。
『すべては捨て駒の世界』
「生きて帰ってきた兵士を呼べ」
王が 命じれば 召喚士はやってきた
謁見の間へ やってきたのは 黒い召喚士
彼は 王の前で 頭を垂れた
「我が問いに応えよ」
「はい、我が王」
「何故生きている?『青の王』に貫かれて死ぬはずだったのでは」
召喚士は、答えた。
「美しい少女が助けてくれました。少女は白の大地から来たとそう言い私の身体を癒してくれました」
「なんだと!?」
突然 王は立ち上がり、召喚士の腕を掴んでその顔を覗き込んだ。
「あの白い大地から、出てきたものがいただと?……面白いことが起き始めるかもしれん」
「王」
「お前はもう一度その少女に会うのか?」
「……約束を、されました」
「どのような?」
「……あした、会おうと」
―――――沈黙の中、王の気高い笑い声が響き渡った。
「明日!明日という言葉を知るとは!これはなかなかに面白い話だ!いいだろう、召喚士。お前に新たな使命を与える。その少女に出会い、その少女に白い大地へ往き方を教えてもらい、そして、殺せ」
淡々と告げられた残酷な言葉。
召喚士はそれを断ることなく、「はい」と。答えた。
白の大地<ユエルミニスタ>
全て無に帰せる場所。そんな処へ往く者なんて死ぬもの以外に許されない。
「……彼女を、殺す、のか」
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