甘い朝



 昨夜、シーラと一線を超えた。

 幸せすぎて死ぬかと思った。

 思い出すだけで鼻血出そうで、思わず鼻を押さえた。だから興奮で鼻血は出ないって?? そんなことわかっとるわ! 思わずだよ!


 細く息を吐いてから、シーラを見下ろした。昨日、かろうじて下着だけは履かせたし俺も履いたけど、それ以外はお互いに何も身につけていない。ので、シーツからはみ出た肩は肌色である。

 よく見ればシーラの目元に涙の跡があった。昨日、無茶させたからなぁ……ちょっと罪悪感が出てきたところで、シーラの青い瞳が見えた。どうやら、目尻を軽く撫でたことで起こしてしまったようだ。


「キース、さま?」


 寝起き特有の、いや、昨日酷使させたからか、掠れた声だった。


「ごめん、起こしたね。」


「いえ、大丈夫です。」

 

 シーラは起きあがろうとしたけど、すぐに背中をベッドにつけてしまった。どうかしたのかと思っていると、


「は、恥ずかしい、です………」


 顔を赤くして、シーツで顔を半分隠してしまった。なにそれ、可愛すぎない?


「昨日もっと恥ずかしいことしたのに?」


「キース様の意地悪!!」


「あはは、大丈夫。シーラは綺麗だから。さて、水は? 飲む?」


「あ、はい。欲しいです。」


 ベッドから降りて水差しへ向かい、コップに水を注いだ。コップをシーラに渡すためベッドに戻れば、シーラはシーツで体を隠しつつ起き上がっていた。しかし、様子がおかしい。なんか、驚いて固まってる、みたいな………


「シーラ? どうかした? あ、体辛い?」


 昨日、ちょっとがっついたけど、思っていた以上に負担だったかもしれない。反省しよ。

 

「か、からだは、その、少しだけ……」


 昨日と同じくらい、顔を赤くしてるんじゃないかってぐらい、肩まで赤くした。肌が白いとわかりやすいな。


「あー……えっと、ごめんね。無茶させて。」


 シーラは「はぅぅ………」と恥ずかしそうな声を出した。一応、法則操作のスキルで俺の体をちょっと操作したので、子供ができないようにしたけども……、痛みはどうしようもない。


「治癒しようか。」


「い、いえ……だ、大丈夫です! 恥ずかしかっただけなので…」


 ダメだ。また押し倒したくなってきたので、無理やり話を逸らそう。いや、逸らすったって、何をどうやって?! とりあえず、理性を保つために父上の顔を思い浮かべれば……


「あ、そういえば、一応建前があるんだった。シーラ、ちょっと鑑定しても良い?」


 この行為をするに至った理由を思い出した。俺と紅玉の少女が結ばれると大聖女として目覚めるけど、紅玉の少女は誰だってなって、色々経てシーラっぽいよなーと言ったことがきっかけだ。

 

「そういえば、そうでしたね。どうぞ。」


「ありがとう。」


 シーラに許可ももらったことだし、鑑定してみると………



 名前:プリシラ・ガーディーアン

 年齢:16歳(誕生日前)

 種族:人間 

 職業:アイスリア王国第一王子の婚約者 Aランク冒険者

 二つ名:疾風迅雷 

 レベル:97

 HP 1300/1300(+500)

 MP 1600/1600(+500)

 能力値:筋力1980(+1200) 敏捷3800(+1500) 守備2000(+1000) 器用さ1540(+500) 幸運値1000(+500) 魅力1300(+500)

 適正魔法属性:火、水、風、土、炎、氷、神聖

 スキル:契約(上級)、洞察力(中級)、嗅覚(上級)、魔力探知(上級)、

 New:超速再生(特級)

 火魔法(特級)、水魔法(上級)、風魔法(特級)、土魔法(特級)、氷魔法(中級)、念話魔法(特級)

 

 耐性:毒耐性(特級)、魅了耐性(上級)、麻痺耐性(上級)、石化耐性(上級)、物理攻撃耐性(上級)、魔法攻撃耐性(上級)、呪い耐性(特級)、封印耐性(上級)、病耐性(上級)、疲労耐性(特級)、熱変動耐性(特級)

 加護:竜王族の加護(疲労耐性)、フェンリル族の加護(嗅覚、魔力探知)、フェニックス族の加護(炎魔法適正、熱変動耐性)、

 New:創造神の加護(神聖魔法適正、超速再生)

 称号:豪胆 青薔薇の姫 

 資格:青の魔術師サファイア

 その他:アイスリア王国ガーディーアン侯爵家長女、『凍結の棺』所属、王都総合学園1年



 

 神聖魔法の適性があるのは良かったよ? これでシーラが大聖女だということが判明したしな。でも、超速再生って……アイも同じもの持ってるけど、同じやつか? 怪我してもすぐに傷が塞がるなら、即死しない限りは死なないから安心だけど……


「どうでしたか?」


「とりあえず、神聖魔法適性があったし、シーラが大聖女で決まりで良いと思う。だけど、超速再生も追加されてる。」


「そうなのですか? 確かアイも持ってましたけど、鬼神の加護ではなかったでしょうか。」

 

「そうなんだけど、創造神は全ての神の頂点だし、持ってても不思議じゃない、と思う。」


 種族を作ったのは各種族神だし、種族神を作ったのは創造神イーストリアラだ。創造神が種族神の持つスキルを持っていたとしても何もおかしくはない。

  

「まぁ、持ってて損するスキルじゃないし、別に良いか。」


 精霊王イグニスが言うには、神が加護を与える時、基本的にスキルや魔法適正などは二つしか与えないらしい。理由は、あまり与えすぎても体が追いつかないとか。欲しい加護を好きなだけあげて、後からそれが負担になったという人が出た。神や加護をもらう人間の素質、あげるスキルや魔法によっては三つ以上でも大丈夫な時はあるらしいが……だからこそ加護を与える時は、本人たちの素質だけでなく本人たちが一番欲してるもの、一番役立つものを厳選して加護として付与するらしい。 

 あ、天神は何があろうと法則操作の一つだけだ。それ自体が強力なスキルだから、らしいんだが、実際は天神が超が付くほどのめんどくさがり屋で人間の素質なんて見てられないんだとさ。でも、その分人を見る目が一番良くて、加護を与える基準も厳しいらしい。『責任感の強い子で、自分の与えるスキルの強力さを自分が一番よく知っているからこその結果なんだ』と言っていた。


「そうですね。半神になれるかわかりませんから、死ににくくなるのはとても嬉しいです。」


「うん。俺も嬉しい。だけど、無茶したらダメだからな? 俺が言うのもなんだけどさ。」


「わかってますわ。キース様たちをお叱りできるようにしておきませんとね。」


「それは結構効くなぁ…」


 漫画で言うと今の俺は、グサグサと矢印に心臓を貫かれてる感じだ。本当に、刺さる刺さる……


「ふふ。それでは、準備をいたしましょう? 少し恥ずかしいですが、お父様たちへご報告もしないといけませんから。」


「うわぁ……気まず〜………」


 顔を顰めながら、俺はシーツにくるまったシーラを抱えて、浴室へ運んであげた。シーラは顔を真っ赤にしていたけど、おとなしく運ばれてくれた。

 俺がお世話するのを恥ずかしがり躊躇っていたけど、仕方なさそうに受け入れて二人でシャワーを浴び、部屋に戻ったあたりで侍女を呼んで服を着替えた。


 そのあと???? 父上たちに報告して、ニヤニヤとされましたが???? お願い察して。


 



──────────────

タイトルを見て分かったと思いますが、とてもイチャイチャしてます。

すみません、我慢できませんでした。


二人がイチャイチャしてるシーンが少なすぎるなとかなり前に気づきました。恋愛要素が多めの小説にしようとしていたのにどうしよう?と、かなり前から機会を伺っていて、今回に繋げました。突然のイチャイチャモードに驚いたと思いますが、ご容赦ください。



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