なすべきこと 〜side:シェファーリエ〜
「って、言っていましたわ。どういたします? あの愚かな女はわたくし達が処分してきましょうか。」
現在、わたくしたちはシルヴィアナという女に会ったことを、主であるグラキエス殿下に報告をした。まぁ、主様に言われたから接触して、女を探ったのですが…もちろん、主様の作った録音?の魔道具を使って、ですけど。
つか、あの女……キース様を好いているのは100歩譲って良いとして、その婚約者であるプリシラお嬢様を愚弄したのよ?! 殺して差し上げようとしたのを我慢するのに苦労したわ……実際、録音の魔道具を聞いていた主様も、握り潰す勢いで魔道具を握っていたものね。
「冗談がきついな……」
あの女は、なんでも良いからプリシラお嬢様を陥れて、婚約者の地位から引き摺り下ろしたかった。わたくしたちは利用できそうだと言われて、クソ悪魔上司野郎に紹介されて、それに乗った。乗ったけど、プリシラ様を殺す気はなかった。出し抜きたかったという違いがあったのだ。あの女がプリシラ様を陥れたいという感情がなきゃ、私たちは主様に接触がする機会がなかったし、プリシラ様を傷つけなかったことと、プリシラお嬢様がお優しい方だったからこそ、弟達を助けることができた。そう思うことで殺さずに止まったにすぎない。
「あら。冗談ではありませんわ。ドルトン達を助けられたのは主様、そして、プリシラお嬢様のおかげですわ。プリシラお嬢様がいなければ、わたくしたちは再会できておりませんもの。ねぇ、シェリュー?」
「うん。お嬢様を馬鹿にした。万死に値する。その場で殺さなかったのを褒めてくれても良いほど、です。」
「まぁ、それは褒めてやるけどな? とりあえず、まだ泳がせておくから、殺すなよ。」
「「主様の御心のままに。」」
本当はお嬢様に手を出した時点で密かに始末したい主様。でも、あの女も元平民とは言え貴族。処罰するためには名分が必要。秘密裡に始末できなくはないけれど、火のないところに煙は立たないので、少しでも怪しいと思われれば主様の名誉に傷がついてしまう。だから、決定的な証拠を残して、追い詰めて処分を下す。あと、主様が実際に声に出しておっしゃっていたわけではないけれど、今回だけだと私たち二人が罪に問われる可能性もないとは言い切れない。未来の王妃を攫ったのは事実だから、そこを貴族達に叩かれることもある。私たちを本当の意味で助けるため、部下にするために、尽力している。それなら、私たちは全力で応えなくてはならないし、我慢が必要なら我慢するわ。たとえ、主様が目の前で罵倒されても黙るわ。全力で言い返したいけれどね。
私たちが今やることは、主様の部下に相応しいと周囲に思わせること。全力で遂行してみせるわ。
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