休息の癒し
とりあえず、資料やら本やらを異空間収納にぶち込んだ後、捕らえた魔族や、インフィたちを連れて王宮に転移すれば、父上にものすごい深いため息をつかれたのはいうまでもないよね。ゴルドールには、王宮は最強種の保護場ではないのだとまた言われた。ついでに魔族である双子についても、頭を抱えたのは言うまでもない。速攻で魔法師団団長に事情を話して、索敵魔法に二つ引っかかると思うけど俺の部下だから見逃してってお願いしたよね。
双子を部下にするのはかなり反対されるかと思ったけど、そんなことはなかった。俺じゃなかったら絶対に反対していたらしいけど。敵を寝返らせて部下にした前例があるから、諦められているとも言う。
色々と根回ししてる間に広範囲探知機の改善点も出てきたので、翌日から数日間は広範囲探知機の改良版の作成に取り組んだ。まさか、魔族が仲間になるとは思わないから、考えもしなくて、そんな機能はないんだよなぁ。
二週間後。
魔力を登録した魔族は、名前が表示されるようにした。捕らえた魔族たちは無理やり登録させたから、数が多くても数え間違えたり、わざわざその場所に行って確認しなくて良くなった。未登録の魔族がいればそれを確認するだけで良い。
おかげで疲労耐性持ちの俺とシリアスは寝不足だった。それ以外の奴らは定期的に寝かせてるから、大丈夫なはずだ。多分。え、学園? 俺たちSクラスだから自由登校だし、シリアスはSクラスがあったらそこに所属できるレベルの人間だから、課題さえ出してくれればって見逃してもらっているそうだ。シリアスも縁作りが主目的だから、学園の授業はさほど興味はない。その縁づくりも同級生の目ぼしい連中は作れたらしいし、暇なんだそうでるんるんで学園を休んだって。
そんなこんなで一応、完成した魔道具を提出したら解散となった。俺は、忘れてたインフィの様子を見に行くことにして、中庭に出た。中庭を大変気に入ったらしく、昼間はずっとそこを飛び回り、昨日はスリアルたちと遊んでいたと聞いた。
中庭へ出てみれば、ベンチの真ん中にインフィ、右にスリアル、左にリーベルティが寄り添って日向ぼっこをしていた。カメラがあったら絶対にシャッターを押してたぞ。可愛さに身悶えていると、インフィが目を開けて俺を見た。
「ん? キースか。魔道具の作成とやらは終わったのか?」
「あぁ、うん。一応は終わった。けどさ、インフィ、なんか青くない?」
俺の目が腐ってなければ、インフィは赤い炎を纏った鳥だったはず。だけど、今の姿は青い炎を纏った鳥に見える。
「おぉ。そうじゃったな。キースには言うておらんかった。わしの炎は本来は青なんじゃ。弱体化すると赤くなるんじゃよ。」
納得。じゃあ、神獣図鑑に載っていたインフィの情報は嘘じゃなく本当だったってことか。
「なるほど。青の方が特別感あって良いんじゃないか?」
なんか、赤より青の方が神秘って感じで俺からしたら良いよなと思う。そういうと、インフィが愉快そうに目を細めた。
「そんなふうに言う者は初めてじゃ。そういえば、何か用があって来たのではないか?」
ご機嫌なようで何より。いくら王宮の中庭で、一般人?貴族?は入れないとはいえ、庭師とか侍女が通るから、人通りがある。そのせいでストレスが溜まるとかはなさそうだ。
「用ってほどの用じゃないよ。インフィがどうしてるかなって思ってさ。」
「わしは見ての通り、この者らと遊んでおったのじゃ。子供と触れ合うのは久しくなかったのでな、楽しませてもらっておる。」
インフィは意外と子供好きっぽいな。まぁ、最強種の一角、片方は同じ神獣だから、親近感が湧くのだろう。
「そっか。スリアルたちがはしゃいでたって庭師が言ってたし、新しい仲間に会えて嬉しかったんだろ。」
「ほほう。それは嬉しいのぅ。」
すると、リーベルティの鼻がヒクヒクと動いて目を開けた。
「んー、キースお兄ちゃん?」
「リーベルティ、悪い。起こしたか?」
「ううん。だいじょう、ぶ……すぅ…」
リーベルティはまたもや入眠した。相当眠いらしい。遊び疲れてんのかもな。頭を撫でれば心地よさそうに擦り寄ってきた。
「はは、可愛いやつ。」
「お主も相当眠っておらんだろ。寝てしまえ。わしが見張っておいてやろう。」
「まじ? 助かるよ。」
二週間ぶっ続けってわけじゃないけど、二、三時間の仮眠しかとっていないから、今はかなり眠い。睡魔に従うことにした。リーベルティとスリアルを抱えてベンチに寝っ転がり、二人を腹に乗せたところで記憶が途切れた。
〜side:インフェル〜
数日前に鳥籠から出してくれた年若い少年は、フェンリルと竜王族の子を抱き抱え、ベンチに寝転がると2匹を自らの腹の上に下ろし、そのまま眠ってしまった。普通、人間は寝ようと思ったら10分程度はかかるのじゃが、3秒で落ちてしまった。
「いくら疲労耐性があろうと無理をしたら良くないというのに……世話のかかる男じゃのぅ。」
そう呟くが、わしにとっては小さな子供らは目を覚すことなく、気持ちよさそうに眠る。じゃが、子供が健やかに過ごすのを見守るのもジジイの楽しみの一つじゃ。子供らが過ごしやすくなるよう、見てやろうではないか。
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