邪魔されたので殲滅します。
ポイズンリザードが大量発生したという西の沼地、ハラフ沼地にやってきた。
俺はスリアルたち親子に竜王契約したことによって、魔力量がとんでもなく多くなった。だって三万だよ?三万。重力魔法、というか浮遊魔法を大人三人分を一時間使ったところで1割も取られない。ので、使いたい放題。風魔法と並行すればもっと魔力消費は少なく済む。ということで、体に負担がかからない程度に急いで向かった。
「うっわ、多すぎね?」
「そうですね。上から見ると100は超えてそうです。下から数えた場合、五十体と言ってしまっても仕方ないかと。」
セフィの言う通り上から見ると、三メートル弱のポイズンリザードが沼地を埋め尽くして、その周りにある森にまで侵入している。森の方にいる冒険者は比較的安全に戦っていそうだけど、沼地付近の冒険者は足場の悪さからか、戦いにくそうにしている。鑑定すると、沼地付近の人たちは毒の状態異常にかかっていた。
「俺は沼地付近の冒険者に解毒魔法をかけつつ、援護をするから、2人は森にいる冒険者の援護をして!」
「「了解!」」
上空で見ていたから、2人はある程度の方角がわかると言うので、その場で地面に降ろして、俺は沼地に向かう。沼地の真上に来てから、俺は周囲を凍らせた。中堅冒険者なら、迷宮ダンジョンという魔物が湧き出る場所に行った時に氷層フロアは経験してるから大丈夫だろうとの判断だ。
「フローズンフロア!」
冒険者たちの不利にならないようにできるだけ、アスファルトみたいにゴツゴツとした地面にした上で、ポイズンリザードを何体も凍らせた。
「キー坊?! 助かったぜ!」
「久しぶり、スカイさん! 状況は?」
Bランクパーティー、
「見ての通り、ポイズンリザードの大群さ。足場の悪さ、疲労諸々が災いして、毒霧吐息で何人もやられている。ポーションも切れていて万事休す、どうせ死ぬなら命かけてってところにお前だ。」
なるほど。
「了解。なら、エリアキュアポイズン……かーらーのっ……エリアヒール……っと。」
光魔法を極めると、広範囲魔法を行使できるようになる。大体が、広範囲でのヒールやキュアなんちゃら系。ミッドワン大陸、西の島国にある神聖国家アフガスタの聖女や聖者が使えるとかなんとか。国民達に治療魔法を施しまくっているという。良い国かと思えるだろうが、その実態は聖者や聖女の使い潰しだから、なんともいえない。外部で使えるものが現れれば、国から招聘される。国からの招聘を断れるやつなんていない。だから、バレたら最後、一生そこにとらわれるそうだ。
だから、俺が使えることも隠す必要がある。いや、あったと言うべきだろう。冒険者であるキースはSランク冒険者だから発言力はまぁまぁ高いし、上級魔法の適正があるため、招聘すれば国際問題に発展する可能性がある。人を使い潰すような国に永住したとして、それを見られた場合、国に報告すれば正式な調査が入ってアウト。俺が泣き寝入りしたとしても、保護対象である俺が死んでみろ。何をしたのだとこの国が訴えて正式な調査が入ることになってアウト。完全に外交問題だ。
ま、キースの正体王族だから、そもそも招聘したとしても永住とか働くことはできないんだけどね。
と、まぁめんどくさい理由があり、エリア系統の光魔法は使用を控えていたが、バレても問題はなくなったので、バンバン使うことにした。
「お、おぉー!! キー坊! ありがとう!」
「キーくん! ありがとね!」
レッド・スカイのパーティーメンバーである、ディズリルさんと、ミナリーさんにお礼を言われた。ちなみにキーくんとは、キー坊の坊をくんに変えただけである。基本、年上のお姉様方に呼ばれる。
「キー坊が来てくれて助かったぜ。それにしてもいつのまにできるようになったんだ?」
スカイさんがポイズンリザードを剣で切りながら聞いてきた。俺も異空間収納から取り出した二本の剣を使って、ポイズンリザードをなぎ倒していく。双剣スキル取得しといてよかった。
「できるようになったのは、数年前! だけど、神聖国家に目をつけられたくなくて、Sランクになるまでは隠してた!」
「なるほど、Sランク以上の国家に対する発言権と言うやつ、か! さすが、だな!」
「それほどでもっ、ないっ、よ!!」
十匹まとめて突っ込んできたところを、レッド・スカイの人たちを巻き込まない程度に凍らせたり、取りこぼしたものを剣で斬り、また魔法で数匹一気に凍らせて行った。
〜side:セスタ〜
キースと別れ、冒険者たちの元へ合流した。状況を聞くと、解毒ポーションも残り少ないらしい。俺とセフィはエリア系の光魔法はまだ使えないから、キースよりも人手がいるため、こっちに来て正解かな。あの瞬時でそんなことを考えつくあの人には舌を巻くよ。
「あ、セフィとセスじゃねぇか! 助かったー!」
「キュアポイズンは私とセフィが担当するので、ポーションが切れた人はすぐに言って! こっちも魔力回復薬を持ってきてるから遠慮するなよ!」
「了解だ! おら、お前ら! ガキ共に負けんじゃねぇぞ! 大人の意地を見せてやれぇ!!」
「おおぉー!!!」
士気が上がったようでなによりだよ。俺たちはヒールとキュアポイズン、片手間にポイズンリザードをやることに専念することにした。
小一時間したところ、奥の方から莫大な魔力を感じた。
「な、なんだぁ?!」
「この魔力……キー坊か!?」
沼地からは結構距離があったはずなのだが、かなり高密度の魔力だ。魔力に鈍感な剣士達ですら、気づくのだから、それは相当と言えるだろう。
おそらく、魔物の多さに痺れを切らしたと言ったところか……
「めちゃくちゃする気だな、あの人………」
「全く……自重しろとあれほど言ったのに……」
ため息をつくと、セフィのため息と被った。これは、決着もすぐ、かな……
その分、森の中がどうなるかを考え……ようとしてやめた。どうせ、酷いことになるのだから、気にするだけ無駄というものだ。
〜side:グラキエス〜
その2分前。
剣でぶった斬り、避けて、魔法で広範囲を凍らせたり、フローズンランスでぶち抜いたり……
何十回も同じ動作を繰り返すこと一時間。俺の中の何かがブチギレた。
「だぁ、もう、数が多すぎてめんどくさーい!! もう良い!! やってやるよっ……」
「え、キー坊?」
スカイさんの戸惑いの声を無視して重力魔法を発動。俺以外の近くにいる人を、巻き込まないように浮かせた。
「ちょっと邪魔なんで皆さんは上に行ってて!!!」
「は? お、おぉ? おぉぉ??! キー坊?? 何これ! 浮遊魔法か?!」
索敵魔法で広範囲に人がいないことを確認して、大量の魔力を練り上げる。
「なんて魔力の密度なの??」
冒険者を巻き込まない範囲でポイズンリザードがいるエリアを指定。
俺には魔法創造というスキルがある。これは、習得していない魔法を習得しやすくなり、初めて使う魔法でも魔力を消費しにくく、操作性もイメージ通り、もしくはそれに近しいものになるというスキルだ。本来魔法に指向性を持たせることは難しいのだが、俺の魔法創造は特級だから、イメージ通りにできるし簡単ということだ。だから、特級氷魔法を広範囲に行使できるということで
「全部凍れぇぇ!!!!」
範囲内全てを凍らせるイメージをして、地面に手をつけて魔法を行使した。目の前が瞬時に凍り始めて、温度が真冬並みに下がり、次々にポイズンリザードを凍らせていく。敵によっては凍った地面から棘のようなものを伸ばして串刺しにした。
「なっ!」
「さっむ!」
「すっげー!」
索敵魔法で俺の正面から広範囲のポイズンリザードは倒されたようで、あとはセス達がいる周辺ぐらいか。
「ふぅ、スッキリしたぁー」
怪我がないように冒険者達を地面にそっと下ろすと、スカイさんの顔が引き攣っていた。
「キー坊……お前魔力切れ起こしてねぇのか?」
「え? 全然。」
「エリア系魔法を3回、攻撃にも氷魔術をちょいちょい、俺たち全員に重力魔法と、索敵魔法か? 最後にどでかい奴一発。普通はこんなにも魔法行使出来ねぇんだけどな。キー坊の魔力量が怖い……」
ものすごい遠い目をされてしまった。確かに俺は規格外だけど……なんか、申し訳なくなってきた。
「1人で国をひっくり返せそうだね……」
「だな……」
「それはない。流石にこの国を落とすには戦力が足りないから。」
アイスリア王国は10万の騎士を抱えた国だ。奇襲をかければ王都を落とせなくはないけど、いろんな場所にいる騎士たちに包囲攻撃されれば普通に数に無勢で負けるぞ。
「ここはできなくても他はできるんじゃねぇか。」
ジト目でスカイさんに睨まれた。この話はボロが出そうな気がするので、セス達の応援に行こう。
「そ、それより、森方面にいる魔物を討伐してくるね!」
「あ、逃げた。」
セスとセフィに合流して、2人に変わって、エリアヒールやらエリアキュアポイズンなどなど冒険者にかけて行く。2人は後方支援をする必要がなくなったから、攻撃魔法で殲滅しまくった。少し余裕が出てくると、セスのレベル上げのためにセフィの攻撃が控えめになり周囲を守る魔法に切り替わったから、優しいなと思う。
ポイズンリザードの殲滅が終わり、ある程度の素材を確保してから俺たちは戻った。残りは他の冒険者に譲った。俺たち全員金は持ってるから、欲しかったポイズンリザードしか落とさない素材のみ。
荷物は2人の分も預かって異空間収納に収納して帰った。あとで返す予定。
ステータス結果。
名前:グラキエス・ウィン・アイスリア
年齢:13歳
種族:人間
職業:王族 Sランク冒険者
二つ名:氷雪の魔剣士
レベル:65
HP 13580/13580
MP 25017/36085
能力値:筋力500 敏捷470 守備1130(+200) 器用さ745 幸運値1850 魅力850
適正魔法属性:全属性
スキル:鑑定(上級)、隠蔽(上級)、改竄(上級)、擬態(上級)
完全記憶(特級)、能力値上昇(特級)、並列思考(上級)、洞察力強化(上級)、気配察知(上級)、危険察知(上級)
魔法創造(特級)、火魔法(特級)、水魔法(上級)、風魔法(特級)、土魔法(上級)、光魔法(上級)、闇魔法(上級)、索敵魔法(上級)
炎魔法(上級)、氷魔法(特級)、嵐魔法(中級)、大地魔法(中級)、雷魔法(中級)、重力魔法(特級)、空間魔法(上級)、念話魔法(特級)
武術技能(特級)、剣術(上級)、双剣(上級)、大剣(中級)、短剣(中級)、弓術(中級)、槍術(中級)、棒術(中級)、馬術(中級)、柔術(中級)
耐性:毒耐性(特級)、毒吸収(特級)、魅了耐性(特級)、麻痺耐性(上級)、石化耐性(上級)、物理攻撃耐性(上級)、魔法攻撃耐性(上級)、眠り耐性(上級)、呪い耐性(上級)、封印耐性(上級)、病耐性(上級)、疲労耐性(上級)
加護:竜神の加護(守備力上昇)、竜王族の加護(疲労耐性)
称号:[転生者]、受け入れられし者、毒人間、竜を手懐けた者、竜王族の仲間、竜王族族長の友人
その他:アイスリア王国 第一王子 王位継承権第一位
※[]内は特級鑑定スキルでも見られない。高レベルの完全鑑定魔眼持ちでやっと文字化けする。
名前:セスタ・ガーディーアン
年齢:13歳
種族:人間
職業:側近兼護衛 Sランク冒険者
二つ名:氷炎の魔術師
レベル:60
HP 450/450
MP 25/1040
能力値:筋力135 敏捷214 守備160 器用さ310 幸運値410 魅力390
適正魔法属性:風、炎、氷
スキル: 魔法解析(中級)、危険察知(中級)、気配察知(中級)
火魔法(上級)、水魔法(上級)、風魔法(上級)、土魔法(初級)、光魔法(中級)、闇魔法(中級)、索敵魔法(初級)
炎魔法(上級)、氷魔法(上級)
剣術(上級)、短剣(中級)、弓術(初級)、槍術(初級)、棒術(初級)、柔術(初級)、馬術(中級)
称号: 第一王子の友人兼側近護衛、腹黒策士
その他:アイスリア王国ガーディーアン侯爵家長男
名前:セフィリスタ・マードナー
年齢:35歳
種族:人間
職業:王国魔法師団副師団長 Sランク冒険者
二つ名:魔法師団では万能魔法師、ギルドでは氷の貴公子
レベル:62
HP 500/500
MP 110/560
能力値:筋力135 敏捷180 守備208 器用さ450 幸運値300 魅力480
適正魔法属性:火、水、風、土、光、炎、氷
スキル: 火魔法(上級)、水魔法(上級)、風魔法(上級)、土魔法(上級)、光魔法(中級)、炎魔法(上級)、氷魔法(上級)、剣術(中級)、短剣(中級)
称号:万能者、氷の貴公子、無慈悲なる者、第一王子の教育係
その他:アイスリア王国マードナー子爵家次男
名前:オーレン・アルス
年齢:35歳
種族:人間
職業:王国近衛騎士団 副団長 Sランク冒険者
二つ名:黒金の豪剣騎士
レベル:61
HP 580/580
MP 170/170
能力値:筋力408 敏捷380 守備430 器用さ300 幸運値310 魅力400
適正魔法属性:風、水
スキル:風魔法(初級)、水魔法(中級)、剣術(上級)、大剣(上級)、短剣(中級)、槍術(上級)、棒術(上級)、拳術(上級)柔術(上級)、馬術(上級)
称号:黒金の大剣騎士、剛腕なる者、第一王子の教育係
その他:アイスリア王国アルス伯爵家三男。
ポイズンリザードの討伐終了後、この勇姿を他の冒険者に語るものあり。その戦う姿を見て、こう名付けられた。氷雪の魔剣士、氷炎の魔術師、氷の貴公子、と。
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