第22話 あかねと小夜

「清ちゃん、ごめんね。功ちゃんがそこまで迎えに来てるから」


 アザミは笑いながら手を振って、玄関から出て行った。代わりに入ってきたのはが色黒で大柄な道場門前どうじょうもんぜん小夜さやと、色白でぽっちゃり系の築山つきやまあかねだった。


「二人共、功の車で来たのか?」

「そう。さあ、夕食の準備を始めるわよ」

「カレーは出来てるからご飯の準備ね」


 小夜とあかねがテキパキと食事の準備を始めたのだが、僕はアザミが出て行ったドアを唯々見つめるだけだった。


「お、もうご飯の準備は出来てるね。何合炊いたの?」


 あかねの質問に僕はそっけなく答えた。


「二合です」

「三人だから二合で十分よね。あ、この冷凍食品は? 今から食べようと思ってたの?」

「そうだけど」

「まだカチカチに凍ってるから冷凍庫に戻しておくね」


 嬉しそうなあかねだ。そして小夜も嬉しそうに話しかけて来た。


「もうちょっと時間かかるから、清史郎はシャワーでも浴びて来なよ。あ、私はその次に使わせて」

「いいけど?」

「仕事帰りで汗と油がね、わかるだろ?」


 そういう事か。小夜の仕事なら食事の前に体を洗いたいのは当然だと思う。僕は何故か消沈した気持ちを静めるべくシャワーを浴びることにした。


 僕がバスルームから出ると、すぐ外であかねと小夜が待っていた。二人共着替えを入れたトートバッグを携えていた。


「私達もシャワー浴びるからね」

「ちょっと待ってて。早く済ませるから」

「ああ」


 僕は一人でダイニングテーブルについて溜息を吐く。アザミとの幸福な一夜が過ごせるかと思った矢先、それを奪われたのだ。気分が落ち込むのも仕方がない。しかし、交換条件であかねを好きに抱いていい事になっているのだが、どうして小夜がくっ付いて来ているのだろうか。


 もしかして、あかねと小夜の二人が僕とセックスをするために来ているのだろうか。もしそうなら、この前のカーセックスの時の、気が遠くなるような性の快感を味わえるかもしれない。


 そんな思考が脳裏に浮かぶ。すると、現金な僕のあそこはムクムクと大きくなり始めた。


 バスルームの中からはあかねと小夜の会話が聞こえてくる。


「小夜って、胸の形凄くイイよね」

「大きさだったら完敗じゃねえか。ほら、このデカさ」

「でもさ、かなり垂れちゃってるのよ。小夜には負ける」

「あ、今触るなって」

「いいじゃん。ちょっとこの大きめの乳首と乳輪がセクシーだわ」

「あかねのは綺麗なピンク色だぞ。乳首も小さめでカワイイし」


 彼女達の会話を聞いて僕は完全に興奮してしまった。あそこはしっかりと固くなっている。


「だめだめ。乳首感じちゃうからだめ」

「先に触ったのはあかねの方だぞ。ほらほら」

「だめだって……」

「あ、ちょっと下は止めろよ……」

「もう、仕返しだよ」

「こっちも負けない」

「あああ!」

「……」


 急に静かになった。会話が途切れ、シャワーの音と微かな喘ぎ声が聞こえる。バスルームでは今まさに、女同士のエッチな戦いが始まっているのだろうか。あかねと小夜は、女同士で性の快楽を貪る関係だったのだろうか。僕の興奮は収まるどころか極限状態にまで達してしまった。オナニーしてしまいたい欲求がとめどなく湧き上がってくるのだが、それを必死で我慢した。


 我慢したのは数分……僕の中ではもっと長かったようにも思えたのだけど、時間的にはそんなものだと思う。あかねと小夜もバスルームから出て来たのだが、その恰好に仰天してしまった。


「お待たせ」

「セクシーだろ。へへへ」


 僕の目の前で体をくねらせてポーズを取るあかねと小夜。彼女達は多分全裸の上にエプロンを付けただけの姿、いわゆる「裸エプロン」だった。小夜は黄色、あかねは水色のエプロンだったが、小夜のエプロンは布地が薄く、浮き上がった彼女の乳首から目が離せなくなっていた。


「さあ腹ごしらえだ。さっさと盛り付けようぜ」

「了解。清史郎はそこに座ってていいよ」

「う……ん……」


 僕は二人の艶姿から目が離せなかった。特に、エプロンの上にプクリと盛り上がっている小夜の乳首とあかねの胸の谷間からあふれ出るお色気に圧倒されていた。


 僕の股間はさっきからずっと硬くなっていて、今も部屋着のジャージを押し上げていた。それを目ざとく見つけたのは小夜だった。丸椅子を僕の隣において座り、僕の股間をさわさわと撫で始めた。


「へえ。期待しちゃってるの? 嬉しいかもな」

「やっぱりやっぱり?」


 向いの席から僕の背後に回ったあかねが僕の肩越しに股間を見つめてくる。


「本当だ」


 あかねは僕に抱き付いて豊かな胸をグリグリとこすり付けてくる。そしてシャツの襟もとから手を突っ込んできて僕の乳首を撫で始めた。小夜は僕の股間を撫でながら耳元で囁く。


「もう、始める? それとも、我慢して食べるのかな?」


 こんなに迫られて我慢なんてできる訳が無いだろう。

 僕は小夜の太ももを撫でながら彼女の絶対領域へと手を伸ばそうとしたのだが、小夜は僕の股間から手を離して立ち上がった。


「凄く興奮してるな。嬉しいけど、もうちょっと我慢しろよ。あかねも離れて」

「わかった。じゃあ、ご飯食べようか」


 二人が離れた後も、僕の興奮は収まらない。あかねと小夜は手早く皿にカレーを盛ってテーブルに並べた。また、付け合わせのサラダも並べた。


「ドレッシングは和風だけど。これでいい?」


 僕は無言で頷いた。

 何でもいい。早く目の前の食事を平らげて二人を抱きたい。


 僕の頭の中はセックスする事だけで一杯になっていた。

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