第3話 危ない体験
全てつながった。さっきから怪しい雰囲気はあったんだ。彼女の語るワードがそれを示していた。「あんなの」「寿命」「目撃者」「不可抗力」「レイプ」「未遂」等々。
先ほどまで感じていた恐怖心がよみがえる。しかし、僕は彼女の美しい裸体から目が離せなくなっていた。
「ねえ。怖がらなくても大丈夫だって」
「しかし……」
「もう。これだから童貞君は」
「童貞……じゃない」
「本当? 童貞にしか見えないんだけど」
何故彼女は、僕がほぼ未経験なのを知っているんだ。実は先月、とある女性……名前は築山あかね……に告白した。すこしぽっちゃり系で胸元が豊かな娘だった。彼女は曖昧な返事しかしてくれず、でも、僕の部屋に押しかけて来た。そしてヤッた。
あかねは「体の相性をたしかめようよ」と言って僕を誘惑した。しかし、僕はあっという間に果ててしまった。
「体の相性は良くないね。君、早いし」
「今日は初めてだったから。次は頑張るよ」
「期待できないわ」
「僕と付き合って……」
「その話は無し。口でしてあげたし最後までしたし。サービス良すぎかもね。じゃあ、さようなら」
つまらなそうに部屋を去った彼女の背中を、僕は恨めしそうに眺める事しかできなかった。
「へえ、そんな事があったんだ」
「ええ?」
僕の心の中を読んでいるとしか思えない。悪魔って人の心が読めるのか。
「その通り。表面的な感情が見えちゃうんだよ」
「見える?」
「色っていうのかな? 感情の色? それに集中すると、具体的な意識が読める」
そうなんだ。
これは困る。
彼女の前で余計な事を考えちゃいけない。
「怖い?」
「もちろん。君はあの、さっき、河原の公園で男三人を襲った異形の存在……なんだよね」
「そう。でも女の子なのよ」
そう、彼女はとても綺麗だった。
女性としてとても魅力的だった。
透き通るような白い肌。控えめな胸元にポツンと飛び出しているピンク色の蕾と股間の柔らかそうな膨らみ。
そのどれもが僕の情欲を掻き立てている。恐怖により縮み上がっていた僕の体は熱く熱く猛り始めた。彼女は僕にしなだれかかってきて、僕の体を撫で始めた。
「ああ、素敵ね。怖い事は忘れて」
「あ……君の名前は……」
「後悔しない?」
「絶対に。名前を知らない女性を抱きたくない」
「アザミ・グレイス。これが私の
アザミ……彼女は僕の体を撫でまわしながら、僕の衣類を脱がせ始めた。
これはどうなんだ。熱い性の衝動が僕の全身にあふれ出した。上半身を裸にされたところで彼女は僕をベッドに押し倒した。そして僕の乳首をちろいちろと舐め始めた。右手は僕の下半身を優しく撫でまわしている。
彼女の舌は僕のへそをグリグリと舐めまわし、そしてさらに下の方へと移動していく。ジャージとトランクスを一緒に脱がして愛しそうに見つめている。
そして今度は、僕にキスしてきた。
「あ……あ……あ……」
思わず声が漏れた。キスしただけで性感が爆発的に盛り上がってしまった。途端に舌と舌が絡み合い、アザミの唾液が口内に広がる。気持ち悪いなんて思わなかった。僕は夢中で彼女の口と舌を貪った。
「ねえ。もう我慢できないわ」
アザミは僕に跨った。そして、僕と彼女は一つにつながった。
「気持ちいい?」
「ああ」
「私も」
アザミはまた僕にキスして来た。僕はアザミと繋がったまま、彼女をきつく抱きしめ、舌と舌が絡み合う濃厚なキスを繰り返した。もう何が何だかわからない快楽に体中が侵されている感じだ。
何回したのか記憶が曖昧だ。凄まじい快楽を何度も味わった。僕はアザミとの行為に溺れてしまったようだ。経験不足の僕にはお構いなく、彼女は彼女なりに楽しんでいた。多分、お互い十分に満足できたのだと思う。そして裸のまま抱き合って眠ってしまった。
そのときの僕は、昨夜、何が起こったのかさっぱり忘れていた。
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