第6話肺炎

僕はバイクで県立病院へ向かった。僕は肺炎を拗らせて亡くなった親戚の記憶が甦り不安でしょうがなかった。途中、神社に寄りお守りを買った。

駐輪場にバイクを駐めると、病院の入り口の守衛さんに、真美がどの部屋に入院しているのか調べてもらい303号室であった。

手には真美が好きなお菓子類が入った袋を持っていた。もちろん、お守りも。

303号の個室のドアをノックすると、ドアが開きキレイな女性の姿が。

「あっ、とし君。妹が心配かけてゴメンね」

真美のお姉さんであった。

「真美はだいぶ熱が下がったから、話せるよ。わたしは、今から帰るから、とし君ヨロシクです」

僕はカーテンの向こうの、真美の顔を早く見たい。

お姉さんが病室を出て行くと、真美の顔が見えた。

「真美、大丈夫か?」

「あっ、とし君……大丈夫じゃないから入院してる」

コホンコホンと真美は咳をした。


僕は元気になったら、食べてとお菓子をあげた。

「とし君、ありがとう。うちの親、とし君が彼氏なら許すって、言ってたよ」

「なんで?」

「とし君が、うちに電話してきて、心配してたでしょ。言葉の端々に誠実さを感じたんだって。コホンコホン」

僕は嬉しかったが、点滴が繋がってる腕と咳を見て、長居は真美の体力を消耗ささるだけなので帰る事にした。

「真美、授業のノートをコピーしてきた。理系のヤツのノートの写しだから」

僕は、リュックから10数枚のコピーを渡した。

「とし君、ありがとう。元気になったら、今度はトリコロールのパイシュー買ってあげる」

「パイシューかぁ~。美味しいよね」

僕は真美にそう言いながら、真美にお守りを渡した。

コホンコホン。

「あっ、お守り。……ありがとう。安産祈願だけど」

僕は耳を疑った。

「安産祈願?」

「うん。そう」

「あら~、健康祈願と間違えた!」

真美は笑いながら、

「そんな、おっちょこちょいが好き」

コホンコホン。

僕はまた来ると言って、病室を出ようとすると、身体がでかく、サングラスをしたその筋の人の様なオジサンが病室に入ってきた。

「初めまして、神田です」

オジサンは、

「初めまして。とし君だよね?君が」

「はい」

「お見舞いありがとう」

「いえいえ」

と、この人が重機オペレーターのお父さんかぁ~と思った。


失礼しますと、言って帰った。水槽にエサを撒き、真美大丈夫そうだな。

その1週間後、真美は退院した。

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