第5話 主人公との対面

秋也の家まではここから自転車で20分くらいだ。

設定も頭の中にあるし転生前の記憶がある為、場所はわかる。

向かいながら今後の事を考えてみた。

今日ナンパされるであろうヒロイン二人を秋也の顔面偏差値で救助して、高校三年間は普通にラブコメをアシストすればいいだろう。

同時に選ばれなかった方の救済方法を三年間で考える必要がある。

もう小説ではないから3人で幸せなって貰うのもありだが秋也は必ずどちらかを選んでしまうはずだ。

半端な事はしない。そういうやつだ。

どちらが選ばれるかはわからない。

俺に出来るの見守るだけだ。

だからどちらか片方を救うのは高校卒業のタイミングになるだろう。

そんなことを考えながら秋也の家に着いた俺はチャイムを鳴らす。


「おはよう。颯。遅かったね。」


「おはよう。秋也。すまない。少し寝坊した。」


扉から出てきたのは頭の中に思い描くイケメンより5割マシのイケメンだった。

名前は中原秋也。身長185cmの長身。

運動神経抜群。性格よし。

弱みは頭の悪さのみである。

勉強イベントを円滑に進めるために阿保にしてしまった。本当に済まないと思っている。


それにしても完璧なイケメンスマイル。

俺が女なら一目惚れするのは間違いない。


白銀颯も見た目は良いのだが、愛想を振り撒くタイプでは無い。

特に女生徒とは二人きりにならない様に気をつけている。

面倒見がいいので、悪印象を持たれることはないのだが、簡単に恋愛を出来る身分でもない。

何かあれば親にも関わる大事になることを考えると迂闊な事も出来ない。

結構窮屈なキャラクターだ。

相談役という事もあり、出てくる回数はかなり多いが、詰め込み過ぎているせいで演じるのも面倒だ。

頭の中の情報の処理も全ては終わっていないが、一先ずは今後の展開を考えながら彼と共に自転車を漕ぐのだった。

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