第116話 帰省
「それより、アーク…スカーレット姫との事、陛下から聞いたぞ」
「あ…申し訳ありません、公爵家に迷惑がかかるような事をしてしまって…」
「貴方…何もこんな所で」
「ま、私等は話を聞いただけじゃが、短慮が過ぎるのではないかの」
「ソロモン殿の言う通りだ、婚約者を軽んじられたお前の気持ちは分かる…俺もエレナの事を言われたら我慢ならん…しかしな、時には耐えねばならんのだ、お前が将来どの道を行こうともお前の行動には多くの者の未来が掛かっていると思え、その責任ある立場にお前は立っている事をしっかりと理解するのだ」
そうだ…公爵家を継ごうと皇帝になろうと俺の行動で大勢の民達の命運が決まる、その事を忘れちゃいけないんだ
「まぁ、今回は己のしでかした事が己に帰ってきたようじゃがな…どうせ、身内同然の相手を殺し掛けたのだから、かなりこたえたのじゃろう?」
見透かされてるな、そんなに俺って分かりやすいかな?
「もう!せっかく数日とはいえアークちゃんが帰ってきたのに2人共アークちゃんに酷くありませんか?」
「おとー様もソロモン様もおにー様をいじめちゃダメ!」
「む…そんなつもりは…」
「そ、そうじゃぞ?エステル、私らはアークを虐めたりなど」
「むー!おにー様が悲しいお顔をなってる!いけ!フェリ!」
「あ!ダメよ!」
「グワ"ン!!」
フェリが自身と同じくらいの大きさの雷球を召喚して打ち出した
けれど、ソロモンが手を払うだけでそれは消え去った
「これ!また屋敷の中で魔法を使いよって!」
「エステル…何度もフェリに命令してはいけないと言っているだろう?」
「だ、たって〜」「クゥン…」
「な、何…今の…」
「明らかにエステルちゃんがフェリちゃんを使役してたね…ん〜?んん?これは〜…いや、でも2人共人間…だけど規格外だし…」
「ゼシアさん?何をぶつぶつと?」
「あぁ、ごめんね、アンちゃん…」
「父上、母上…今のは?フェリが魔法を…ソロモン!どう言う事だよ!?」
「どうと言われてもな…こやつはフェンリルじゃぞ?魔法くらい使うじゃろ」
「はっ!」
そうだよフェンリルじゃん…あまりにも犬っぽいから忘れてた…そうだよな…魔法使うのかぁ…
「エステル、魔法は危ないんだぞ?エステルも習ってるから知ってるだろう?フェリの魔法は普通よりも強いんだ、だから、簡単にフェリに頼んじゃいけないよ?父上もソロモンも俺を心配してくれてたんだ、ね?」
「うぅ、はぁい…ごめんなさい…」
「フェリも無闇に魔法を使っちゃダメだぞ?エステルが危ない時だけ使って守ってくれ」
「クゥン…ワン!」
「さ!いつまでも玄関にいないで中に入りましょう!エマ、アークちゃん達の荷物もお願いできる?」
「かしこまりました、奥様、2人共手伝って」
「「はい」!」
「あ、自分の荷物くらい…」
「お任せを…ユキ様、貴方様はアーク様の婚約者なのですから」
「ありがとうございます、カノンさん」
「カノン、いつもありがとう、着いてきてくれて心強いよ」
お礼を言うとカノンが礼をして俺達の荷物を運んでくれた、相変わらずクールだな
ふと、視線を感じると有希がジト目でこちらを見ていた
「な、なんだ?」
「ううん、別に…」
「???」
「やれやれじゃの」
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