第112話 円満
驚いた…先程まで死にかけていた彼女がもうここにいる事?いや、殺そうとした相手に会いに来た事だ
「俺を罰しに来たのですか?」
「アーク、違いますよ…お姉様は貴方に謝罪をしに来たのです」
俺の問いにマリィが否と言う…というか謝罪?
姉さんを見るとぎこちない笑いを向けられた
「俺は貴方を殺そうとした、そんな相手に何を…許される筈ないでしょう」
「…やっぱり、母上の言う通りだった」
ミレディ様?一体…
「…何がです?」
「君は私に対して、と言うか人に対してあそこまでの事をするのには理由がある筈だと、そしてその理由は君の大切な人達の事を想っての行動だと言っていた、更には今回の事で深く後悔して、罪悪感で一杯になっているだろうからさっさと謝りに行けと母上に叱られてしまったよ」
「それに、今回は私が愚かだったのだ…自分の欲に駆られ君を怒らせて傷つけた、すまなかった…私を姉と呼ぶ君にしてはいけなかったんだ…」
頭を下げ、謝罪を口にする姉さん、ミレディ様には見透かされていた様だ…
「………王族が簡単に頭を下げるものではないですよ」
精一杯の強がりだった
「私を殴り飛ばした他ならぬ君が言うのかい?それにそんな事は今更だろう、私に王族たる資格はない…マリィと違い己の欲を最優先に考え、国益を民を蔑ろにした私にはな…」
「ふふ、小さい頃から貴方を知っている我々は貴方のことを割と知っているのですよ?だからアーク、誰も貴方を恨んでなどいませんわ」
胸の中に会った黒いモヤがなくなっていく様だ…
「…姉さん、ごめんなさい…傷は大丈夫ですか?」
「ああ!母上に治してもらったからね!それにしても君は凄いな!自分の傷を見ても何をされたのかわからなかった…是非、またやろう!」
…呆れた…死にかけていたのにまだ懲りないのかこの人は…
「お、ね、え、さ、ま?貴方という人は…いい加減にご自身の立場を理解してください!さっきご自身で仰っていたではないですか!?」
「な、何を怒っているのさ、マリィ…私は純粋にアーク君と戦いたいだけなのに…」
「くっ……あははは!」
救われてしまった…このじゃじゃ馬姫に
「姉上、改めて申し訳ありませんでした…公爵家の者としてあってはならない行動だと反省しています、なれど…貴方はこの国の王女です…この国の民は貴方方王族を信じております、だからこそこの国の為に考えて行動して貰いたい…しかし、貴方を想い、心配している方々もおります…」
「……あぁ、謝罪は受け取った…こちらこそ、君の婚約者に酷い事を言ってしまった…申し訳ない…それと、正直自信がないのだが、この国の為にできる事を考えよう、君の言う通り王族である私にはこの国の民の未来を想わなくてはならないのは理解している、マリィ、不甲斐ない姉ではあるが、一緒に考えて欲しい」
「えぇ、勿論ですわ…お姉様」
この国の将来が少しでも良くなると俺は目の前の光景を見て思うのだった
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