第111話 後悔


「こ、これは、一体…っ!スカーレット!!……っ!!アークライド!そこを退きなさい!」


ミレディ様がスカーレットに駆け寄ろうとするの遮ると凄く睨まれた…恐らく治療をするのだろうが、悪いけどさせない、サリュバートも倒れているけど、そっちはいいのかな?…って起き上がってるしタフ過ぎだろ、この姉弟…


「申し訳ありませんけど、今は治療させることは出来ません」


回復したらまた、襲いかかって来そうだし、何より許す気はない…


「アーク!お願いよ!あんな愚かな子でも娘なの!傷ついた姿を見て大人しく出来る親はいません!それに、どうせこの子から手を出したのでしょうけど、貴方ならここまでする事なく抑えられたでしょう!」


「………はぁ、わかりました、どうぞ」


道を譲るとすぐさま駆け寄り治癒魔法をかけるミレディ様…


「アーク…やり過ぎだ…何があった?」


「…廊下で彼女と会ったら、戦おうと言われ、断ってもしつこかったから逃げたら、剣を抜いて襲いかかって来た、初めは身を守って説得していたけど、婚約者の事を言われて許せなくなった」


「誰の事だ?何を言われた?」


「アル、アルシェード・ライゼクス、アルも姫なのに何故自分はダメなのか…だってさ」


「…あの亡国の姫か…愚かな…他者への配慮がまるでない娘だと思っていたが…すまなかった」


「……ふぅーもう、いいです…申し訳ありません、陛下…処罰は受けます」


膝を折り臣下の礼をする…叔父であっても従姉妹であっても王族に手を上げた、明確な罪だ


「よい…父親としては思うところもあるが、このバカ娘が明らかに悪い…お前は学園に戻れ、あとはこちらで対処する…」


黙って立ち上がり、その場を後にする…ミレディ様がこちらを見て涙を流している…恨まれただろうか…マリィにも嫌われそうだな、なんだかんだ言って兄妹を慕っていたからな…


「アーク君…」


よろよろと近づいてくるサリュバート


「度々、迷惑をかける…今回の事は気にしなくてもいい、姉上もわかっているだろう」


「失礼します…」


テレポートで学園に帰る、景色が変わり寮の自室に来た俺はベッドに倒れ込む


「何してんだよ…俺は…」


身内とも言える人を殺しかけた…いや、殺そうとした…いくらアルの過去を軽く言われたからといって明らかに過剰に攻撃をした…

異常だ…これでは感情も力も制御出来ない、怪物じゃないか……






「…………う…ん」


暗い…どうやら寝てしまった様だ


「…はは、呑気なものだな…スカーレット姉さん、大丈夫だろうか…」


「アーク」


ドアがノックされ、名を呼ばれた、声からしてヴァニタスだ


「何?」


「いたか……どうした、お前…顔色が悪いぞ、大丈夫なのか?」


そんな顔をしていたのか?


「平気だ…それより、何か用か?」


「ああ、理事長が呼んでいるぞ、お前に客だそうだ、理事長室まで来て欲しいと」


「わかった、ありがとう」


体が怠いが、シャルに呼ばれているなら行かないと、客って誰だ?城からの使いだろうか…

そう思いつつ理事長室に着いたので扉をノックする


「アークライド・ルグウィンです」


「どうぞ」


シャルから入室の許可を得たので扉を開けて中に入る、そこに居たのはシャルとマリィ、そして…


「………姉さん」


「おや?まだそう呼んでくれるんだね、嬉しいよ」


スカーレット姉さんが居た

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