第110話 爆発
部屋を出たら戦闘狂に捕まった…
「嫌ですけど…」
「まぁまぁ!そう言わずに、少しでいいんだ!最近は騎士団長も魔法師団長も相手をしてくれなくて、歯応えのある者とやりあいたいんだ!」
「……………嫌です」
マリィと同じ桜色の髪を揺らして頬を膨らます第一王女
めんどくさい…撒くか
「それじゃあ、失礼しますね」
透明化の魔法で姿を消す…さっさと学園に帰ろう、皆んなに会いたい
「あれ!?消えた!なんだいそれは!?魔法?ねぇ!アーク君!!その魔法詳しく!ねぇ!アーク君ーーー!?」
後ろから叫び声が聞こえるが無視だ、あんな人の相手なんかしてられない…
はぁ…皆にも聖女との事を話さないとな
「アーク君!む?まだ見えない…だが!この辺にいるのはわかる!なんとなくだが」
………………嘘だ!?なんでわかるんだ!?
「むむ?ん〜……そこダァーー!!」
うわ!
腕を伸ばして俺を掴みに来たのを咄嗟に躱す
なんで居場所が感でわかるんだよ
野生児か!
一刻も早く離脱しなくては!
「おかしいな…ん?離れていくのを感じる…こっちか!」
くそ!どんな感覚で的確に追ってこられるんだよ!不味いなこのままじゃあ学園まで追ってきそうな感じだぞ
そんな事をしたらアメリア達が目を付けられてしまう!
「アーク君〜!逃がさないよぉぉぉぉぉ!!!」
いや、普通に怖い!!
身体強化して振り切ろう………ッ!!
「はぁぁぁ!!」
嘘だろ!?城の中で抜剣して斬り掛かって来やがった!
「っっざっけんな!!」
こっちは帯刀してないんだぞ!
透明化を解除して魔力障壁を張って向かってくる刃を防ぐ…
「これは…洒落にならないんですが?第一王女…」
「そんな怖い顔しないでくれ、先に逃げたのは君だ、私はやむなく君を止めるためにこうしているまで」
「呆れるほどに自己中心的な物言いですね…貴方に付き合う義務も義理もないんですが?」
「釣れないなぁ、女の誘いは喜んで受けるのがいい男だと私は思うのだが」
「剣に誘われても嬉しくないですよ!」
なんて力だよ!ヤベェ逃げ切れる気がしない…ん?
「なんの騒ぎだ!?ス、スカーレット姫!?それに、アークライド・ルグウィン様!?これは一体…」
騒いだせいで兵が集まって来た、よく来た!
「誰か、陛下か王妃様を呼んできてくれ!今すぐに!!」
「は?………!!わ、わかりました!」
俺とスカーレットを交互に見て状況を理解したのかすぐに走りだした兵に、あろうことか迫る彼女を俺は慌てて止めた
「何をするんだい!?早く彼を止めないと父上か母上が来てしまう!」
「俺がそう頼んだんだよ!それに何、自国の兵にそんな闘気剥き出しで迫る姫がいるんだよ!いい加減に大人しくしろ!」
風魔法で彼女を吹き飛ばすも、空中でくるりと回転し、難なく着地する
「君の婚約者のアルシェード姫だって、王族なのに冒険者をしてるいではないか、今やSSSまで上り詰めた彼女とも手合わせをしたいものだな!なのに私にだけそう言う物言いはどうかと思うぞ、アーク君?」
「……………あ?」
アルが望んで今の道を選んだとでも?彼女の国がどうなったか、アルの家族がどうなったか、どんな思いで冒険者になったのか知りもしないで…
「…勝手な事ぬかすなよ…じゃじゃ馬姫…殺すぞ」
「ッッ!!!は…はは……あははは!す、凄いよ!アーク君!騎士団長や魔法師団長でもここまでの圧は感じた事がない!是非!たた……」
瞬間、スカーレットの体は吹き飛び、壁を何枚も突き破って城の外まで飛んだ…
アークはゆっくりと歩き出し彼女の後を追う…
「なんだ!?一体何が…壁から人が飛び出して来た…誰が…ス、スカーレット姫!?」
城はパニックになっていた、当然だ…突如として現れた膨大な魔力に、城の壁が崩壊…襲撃かと思う兵達も次々に集まっておりかなりの騒ぎになっている
スカーレットは自分が何をされたか理解出来てはいなかった
城の外に横たわる自分に…つい先程まで城の中に居たのに空を見上げている自分に…体が動かない、かろうじて顔を少し動かして自身の体を見ると鎧は粉砕されており腹部に大砲でも喰らったかな様な傷がある…重症なのは一目でわかる
「今ので意識を失わないのか、呆れた頑丈さだな…」
声がした…恐怖なんて生易しいものではない、これは…死だ…
「ふ……ふはは…こ……こ…まで………かはっ…なんて……恐ろしい…な…………君…は…」
「全てお前の自業自得だ…何も知りもしないでアルを語るな…それに、先に剣を抜いたのはあんただ…まさかやり返されるとは考えなかったのか?」
「……………」
眼前に転がるのはこの国の第一王女だ…それでも、アークはそれを見下ろし、強い魔力を漂わせながら睨む
「アーク!待ってくれ!」
2人の間に割り込む人影が現れる
第一王子、サリュバートだ
「何の用?」
「何があったかはわからないが予想は付く、どうせ姉上が君に襲いかかったんだろう?それでも君はそのくらいではここまでしない、なら、姉上が君を怒らせる余計な事を口走ったのだろう…すまない!どうか、許してやってくれないか!?頼む!」
「……そこまでの頭が回るなら、何故聖女を口説くんだよ」
「そこに美女がいたものぐべぇぁ!!」
あ、まだイラついていたので反射的に殴ってしまった
「アーク!」
そこへ、おじさん、ミレディ様がやって来た…ようやくか
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