第109話 会談に向けて
「失礼します、アークライド参りました」
おじさんの執務室にノックをして入室するとおじさんと宰相のヨーク・チェスター子爵がいた
彼はおじさんの親友でとても優秀だ、王妃様からの信頼も厚い、父上も一目置いている人物…なのだがいつも何かやらかす王族の尻拭いで心労が絶えないようだ…
「お久しぶりですね、アーク君…立派になりましたな」
「いえ、自分などまだまだですよ、お疲れ様です、ヨーク宰相」
「俺には何もないのか?アーク」
「貴方の息子のせいで余計な仕事が増えたんですが?しかもとびきりの難題が」
少し圧を出しておじさんに言う、するとバツが悪いのか目をキョロキョロさせながら
「す、すまん…まさかあそこまでバカとは…」
「貴方の子ですもんね…」
「ぐぅ…それで、受けてくれるのか?聖女との会談を」
「受けるしかないでしょ…全面的にこちらに非があります…あの国と揉め事を起こしてどれだけ国が揺れるか、はぁ…それにしてもなんで俺と会いたいなんて…何か聞いてますか?」
「いえ、特には…しかし、何か思惑があるのか…聖女ですからね、神託、関連でしょうか?」
「余計に面倒になってくるな…神託の場合にはどんな無茶を言われても協力しないわけにはいかない…」
神託は聖女や聖者が神から賜る預言のようなものだ、しかし、歴史にある内容は曖昧な為に正しく伝わっているのか疑問のある神託もあるが…未曾有の大災害から人々を救った神託もあり、全く信用がないわけではない、寧ろ殆どが信じられており、信者からしたら神からの絶対的な指示と妄信している者もいる、言いはしないが…
ホントに余計な事をしてくれたなあの人は…
「日程については向こうと協議せねばならないのでまだ一月ほど掛かるでしょう、決まれば学園に連絡いたします」
「はい、お願いしますね…じゃあ、おじさん、俺は帰るけど、あの人達のことなんとかしといてね、マリィが悩んでるよ」
「う、うむ…ミレディと話して最善を尽くそう…」
「頼みますよ、俺はこれで帰ります」
「ありがとうございます、アーク君」
「いえ、ヨーク宰相の方こそ休んでくださいね、貴方に倒れられたら国が回らなくなる」
「ははは、気をつけましょう」
部屋から退出する………はぁ…
「……何かようですか?スカーレット姉さん…」
「やぁ!アーク君!君、どうやらかなり強くなった様だね…さっきサリュに会って聞いたよ…ちょっと訓練所で一戦どうだい?」
「………………沈めとけばよかったな」
この国一のバトルジャンキーに捕まった…
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