第108話 私の…話…です
突然だけど、私の名前は
アルシェード・ノア・ライゼクス
今は亡き国の姫だった…
私の国は騎士国家と言われるほどの騎士の国だ
昔、騎士王と呼ばれる人が国を起こしたと伝わっている
お父様も若い頃から鍛錬を積み王としてよりも騎士として国を治めていた
そんなお父様を支えたお母様も名家の騎士家の生まれだ
両親の元に生まれた私も両親に、憧れて騎士を目指した
私には天賦の才があった
人離れした力、体の大きさに合わない力を持っていた私は幼くして国一の騎士になった…と言われたが、私自身はそんな事は思っていない
ただ力があるだけでは騎士ではない、弱きを助け強気を挫く、誠実に謙虚に優しく、穏やかに…
私は私の騎士道を見つけて私自身が誇れる騎士になりたかった
そしてこの国の為に剣を振るって護る事を夢見ていた
けれど…その夢は叶わなかった…
突然襲いかかってきた魔物の大群…国を埋め尽くすほどのあり得ない数の魔物の前に私達の騎士道は何の役にも立たなかった
皆、戦った…強かった騎士達は圧倒的な魔物の数に飲み込まれていった…
「俺がここで食い止める…アルシェードを頼んだぞ…アルシェード…すまない…もっと教えたい事が沢山あったのだがな…愛しているよ、どうか、生き延びてくれ!」
私達を逃す為にお父様は囮になった…
「アル……シェード…生き………て……あい…し…」
私を護る為にお母様は魔物に引き裂かれた
国は滅んだ…私は…生き残ってしまった…
蹂躙された国には死体も残っていなかった…魔物に喰われたんだ
私の両親も仲間も国も夢も…全て、喰われてしまった
血に染まった街を歩く…そして、お父様の剣を見つけた
最後まで私達を護る為に剣を振るったお父様…
私は溢れる涙を流しながら身の丈に合わない大剣を掲げて誓う
魔物をこの世から駆逐すると
それから三年…冒険者として各地の魔物をひたすら狩った
どんな小さな依頼でも受けて魔物を殺した
小さな村から大都市まで渡り歩いて人々を脅かす魔物を殺しまくった
そうしているうちにSSSランクまで上り詰めた
けど、私にはなんの価値もない
私が欲しかったものはもうない…
ただ1人で魔物を殺し尽くす、その事だけを考えて日々を過ごした
体中、生傷だらけだ…危ない場面も幾つもあった…けど、私は死を恐れない…私が死ぬまで魔物を殺す、私は死に無関心だった
そんな中、ある人に出会った…
ある依頼で死の森と呼ばれる森に入って死にかけていた時に助けられた
その人は私に
「何があったか知らないけど命を粗末にするなよ、1人で生きていけるやつなんかいないんだぞ?お前が今、生きているのは誰かのお陰なんだろ?なら、その人の行動を無駄にするな」
そう言われて、私はお父様とお母様の最後の行動を否定する様な生き方をしていた事に気がついた
「…私だってお父様とお母様に生きていて欲しかった…」
「なら、その分お前が生きなくちゃな…1人がしんどいなら俺を頼れよ、肩くらい貸してやるから」
この人は私の懐に簡単に入ってきた…付き物が取れた様に体も軽くなって思考がスッキリした
この人を見ていると胸がうるさい…なんだろう?
気になる…
私がこの人、シュウ・ホシミズに恋をしていると気付くのはもう少し後…
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