転移した世界に転生する

第106話 戦闘狂姫

聖女が俺に会いたい？なんで？しかも手紙にしてこの人に渡すんだよ、意味わからん…

「理由は知ってます？」

「いや、手紙にも書かれてはいなかった…会って伝えたいことがあるとそれだけだ」

「……なんで貴方に？」

「い、いやぁ〜僕のやらかしたことを無かったことにして欲しかったら絶対に繋ぎを作れと……ははは！」

「笑い事じゃねぇよ…」

「すいません…」

しっかりと付け入れられてるじゃん…これ、俺も断れない奴だし…

「陛下はなんと？」

「お前が頭を下げてお願いしろ…出来なきゃ城から出て行けと言われたよ…」

「貴方が出ていくのは構いませんが、断れば厄介なことになりそうだ…はぁ、受けますよ」

「ねぇ、そろそろ泣いてもいいかな？」

「だから、全て自業自得だって言ってるでしょうが…はぁ、才能の無駄遣い過ぎる…いっそ軟禁した方がいいんじゃ…」

「こ、怖いよ！い、いや！僕の事よりも！受けてくれるんだね！ありがとう！いやぁ、ホントに助かるよ！」

「貴方のためじゃなく、この国の為です…はぁ、この国の将来が不安だ…マリィも可哀想に…」

「ホントだよね、長女は戦闘狂、長男はバカ、末っ子に苦労が絶えない…あ、待って、ごめんなさい！悪かったから！後で誠心誠意マリィには頭を下げるから！だから振り上げた拳を下げてください！」

「………本当にあなた方はマリィに謝ってくださいよ…かなり悩んでいるのですから…それでは、俺はこれから陛下の所に行きます…今後の予定も決めないと行けませんからね…」

「わかっているよ、アーク…すまなかった…」

「貴方は仕事だけ！して下さいでは、」

部屋を後にし、陛下の元は向かう…

なんだかんだと責任を感じているんだろうな…あの人は…まぁ、だからと言って許せるはずはないけど…

…………はぁ、今日は厄日か？

廊下を歩いているとまたしても厄介な人に会った…

「おや、アーク君じゃないか！久しぶりだな！」

前方から甲冑を見に纏った女性が歩いてくる…

名前の様に赤い髪を靡かせてマリィによく似た顔で剣を下げている彼女は

「…お久しぶりですね、スカーレット様…」

この国の第一王女、スカーレット・アストラル

「おいおい、そんな他人行儀なんてやめてくれよ、昔みたいにお姉ちゃん、って呼んでくれ」

「…スカーレット姉さん…」

「お、それもいいね！それで？今日はどうしたんだい？」

「これから陛下に会いにいくんですよ…姉さんは…訓練場ですか？」

「あぁ！武者修行の旅はお母様に却下されてしまったからね、体を持て余しているんだよ」

「それはそうでしょう…いい加減に自分の立場を理解して下さい…マリィも困ってますよ？」

「あ〜マリィの事を言われると弱いなぁ〜…あの子には苦労をかけて申し訳ないとは思っているよ…でもね？私はやはり強くなりたいんだよ…体が疼いて仕方ないんだ！わかってくれ！」

本当にこの人もあのバカ王子も…マリィの事をもっと考えられないのか？あんなにもこの国の未来を考えているのにこの人達は自分のことばかり…

「はぁ、ほどほどにして下さいよ、では…」

「うん、またね！」

本当にわかってんのかよ…彼女と別れ、おじさんの所へ向かった