第103話 焼きもち


あのバタバタしていた夏休みが嘘の様に平和な日常が続いている

お陰で学生業に励む俺達は今、静かにテストの最中だ


(これは……確か…これだったな)


カラーンカラーン


「そこまで、皆書くのをやめてください、後ろからテスト用紙を前に集めてください」


「アーク様、如何でしたか?」


「うん、まぁまぁだと思う、アンは?」


「私は少し自信がありませんね」


「よく言うわね、才女たる貴方が」


「あら、マリィ、褒めても何もありませんよ」


「はは、マリィ、君はどうだった?」


「それなりの点は取れますわ、当然でしょう」


ドヤ顔でそう言い放つマリィ、まぁ、確かに彼女は王族としてしっかりとした教育を受けているから当然か…


「あ、そうだわ、マリィ、今日はこれで終わりだし、この前話していたカフェに行かない?」


「まぁ、いいですね、行きましょう!……それじゃあ、エスコートしてくれる方も必要ですね」


なんか2人が目線で合図を送っている……退散!


「そうですね、じゃあ、アーク様、よろしくお願いしますね」


肩を掴まれた…逃走は失敗だ…


「わかったよ、姫様方…」


「ふふ、アンはアークと2人きりの方が良かったかしら?」


「そんな事ないわ、マリィとお茶するのも楽しいもの、行きましょう、アーク様も」


そう言いつつ腕を絡ませてくるアン…最近、攻めてくるよなぁ…


「あら、羨ましい…私も宜しいかしら?」


「マリィならいいんじゃないかしら?」


「もう好きにしてくれ………っ!!!」


「では、失礼して…男性とこんなに密着したのは初めてですわ、少し恥ずかしいですね」


……………何も考えてはいけない…腕から伝わるマリィの圧倒的な幸せな感触を意識するな!……おい!アン!わざと押し付けるな!


「アーク様?どうしたのですか?お顔が赤いですよ?」


「あら、本当ですわ?体調が優れないのですか?」


アン…わかってて聞くんじゃない!…やめて!マリィ!更に密着しないで!君は天然だったのか!?それともわざとなのか!?もう俺の腕は埋まっているぞ!


「ふふ、アーク様、可愛い……………あ」


「随分と楽しそうね?アーク…」


ひっ!

絶対零度の冷たい声が背後から聞こえ振り返ると腕を組み、こちらを射殺しそうな目で見つめてくるアメリアが立っていた


「ア、アメリア…いや、その、これは…」


お、俺は何を浮気がバレた奴みたいになってるんだ?


「ううん、別に怒ってないわよ?アンも婚約者だもの、マリィ様も従姉妹だしね?エスコートは大事よ?」


そう言って近づいてくるアメリア……ちょ!なんで、2人共離れるの!?ちゃんと説明してよ!


顔を近づけて、耳元で囁く


「今晩、貴方の部屋に行くわ…帰ったら私も構ってくれなきゃ嫌よ」


可愛いかよ…うちの嫁は


「可愛いかよ…うちの嫁は」


「よ…嫁//////」


「アーク様、ダダ漏れです…」


「照れている、アメリア様…尊い…」




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