第95話 真相
「魔界との事は今は置いておこう…まずは、帝国からだ…ゼシア…と言ったかな?君は今回エルフの計画に手を貸したそうだが、その概要を聞かせてもらう事は出来るかな?」
あーまぁ、そりゃそうなるよな…今回の発端はあのアホだ…それに手を貸したゼシアに対して何も思わない事もないけど…あれ?
「なぁ、有希…ゼシアは有希があのエルフに騙されたって聞いたんだけど…あいつと何か話したのか?」
「え?エルフ……??」
「ユキ、ホラ…あのフードの汚れた男」
「ああ!あの時の人!エルフだったの?確かに少し話をして、家族が殺されたからその犯人達を捕まえたいって言ってたからゼシアにお願いして……それっきりだったね!その後もゼシアが帰って来た時、おにーちゃんに会えたからすっかり忘れちゃってた…その人がどうかしたの?」
……マジで今回の事、有希なんも知らないじゃん…おい、ゼシア…なに、目を逸らしてやがる…
俺はこっそりとアメリアとアルに頼んで
「ユキ、国の話になるから私達は外しましょう」
「え?でも、魔界の事なら私も…」
「それは…後…です…向こうの…部屋に…美味しい…ケーキ…ある…です」
「あ、あの〜ま、待ってくださいぃ〜」
なんとか有希を連れ出してくれたな…さて
「どういう事だ?お前…有希に頼まれた手伝いが明らかに変わってるよな?なんで帝国をあそこまで追い詰めたんだ?」
「あははは…いや〜それがね!……ご、ごめん!真面目に話すから…そんな顔しないで…」
まだ巫山戯るので睨むと漸くちゃんと話す様だ…
「えっと…初めはユキに頼まれた通りにあいつの手伝いをするのに何人かの手の空いてる魔族を連れて暫く行動を共にしてたの、犯人を見つける為にね、だいたい3ヶ月くらいかな?でも、魔王軍の第一団長がちょっかいかけて来てね、連れて行った連中もアイツの配下だったの…それに気づいた私は何かあるなぁって思って知らないフリして情報を集めてたらいつのまにか私まであいつの言うことを聞いてたの…」
「それって、操られてたってことか?ゼシアが?あり得ないだろ…」
ゼシアはサキュバスと龍のハーフだ…あのエルフごときが操れるとは思えない…
「他の連中はそうだけど、私のは暗示くらいにはなってたと思う…なんか手伝ってあげたいなって気持ちが出てて、アークと戦ってうちに正気に戻ったみたいなんだよ」
「なら、なってあの時に言わなかったんだよ!」
「だって!人間の国と繋がりを持てるかもしれないって思ったら居ても立っても居られなくて!ユキ早く報告しなきゃ!って」
「その人間の国を滅ぼしかけてるんだぞ!…はぁ〜…それで?」
「え、えっとね!それで……んー?え〜…あ!あいつなんか魔道具を使って森の魔物達を操って帝国の街を襲わせたの!それで皇帝を殺して、操り人形にして、帝国を動かして王国と戦争させようってなってたと思う…あ、その前に事前に情報を集めてどうしようもない人間に絞って殺したよ!ホント酷い奴らばっかりだったんだよ!」
……改めて、ゼシアの命に対する軽さを目の当たりにした気がする…これは…龍の血がそうさせているのか…それとも魔族の血か?……そうであってほしくはないが…彼女自身の…
「ゼシア殿、それならば今帝国には皇帝はおろか国を動かせる人間がいないことになるが…」
「んー…何人かの貴族は生きているよ…でも、あまり優秀じゃなかったから放置してたんだよね、だから…あまり期待はできないかも…」
「ならば、早急に帝国をまとめ上げる人間が必要だ」
陛下はそう言ってアンとヴァニタスを見た…それって
「私達が帝国に戻り帝位継げ…と?」
そう…なるのか…アン達が帝国に帰る…?
「其方達は、れっきとした皇族だ…帝国を治める資格と責任がある…ならば」
「俺が皇帝になろう」
突然、立ち上がって言い放つのはヴァニタスだった…
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