第93話 世界の認識
「おふざけはここまで、アークよ…何故、その魔族と共にいる…結婚とはどう言うことじゃ…そいつが何をしたか知らないわけではなかろう…淫魔に魅了でもされたか…」
「あー…実は…」
俺は魔界であったこと、今回、ゼシア達がどう言った理由で行動したのかを説明した
「………俄には信じられん…魔族が…」
「…アンタ…騙されてるんじゃないの?」
「いや、ホントなんだって…後で父上と叔父にも報告しないと…国交の件もあるしね」
「アーク様…またすごい事をしてますね…」
「規格外の範囲が更に広く…」
「流石に…予想外…です」
「てなわけで、悪い奴らじゃないんだよね…じゃあ」
「改めて、ゼシアよ、よろしくね!姉さん達」
「星水有希と言います、よろしくお願いします」
「「「「!!??」」」」
まぁ、そういう反応になるよね…
「ホ、ホシミズ…って…え?…うそ…」
「なんという事じゃ…」
「こんな事が起こりうるなんて…」
「あの…シュウ様…とは…どういう…関係…です?」
「妹ですよ、今は…どうなんでしょう?おにーちゃんは転生しちゃってて…」
おいおい、なんだよ…このお通夜みたいな空気は…
「ねぇ、アーク、私お腹すいちゃった」
「お前は空気読め…」
「事情はわかった、ユキは良い…じゃが、そこの淫魔はやはり信用できん…魔族は既に人類の敵ではない?そんなもの…数百年前からの我々の世界の敵というのが共通の認識だ、それを今、はいそうですかと受け入れる事はできん…そもそも、こちらでも魔族は悲劇を生み、混乱をもたらして来た、アークよ、お前も知っているだろう…」
「あの…いいですか?」
ソロモンが認められないと口にする中で有希が手を挙げて意見を言う
「私はこの世界の人間じゃありません、だから、皆さんの常識や認識とズレがあるのもわかっています、ですが…何故、魔族が…魔界が悪と決めつけるのですか?…確かに貴方が言った様にこちらで魔族が悪事を働いたのは事実なのでしょう…初代魔王が世界を脅かしたのも本当なのだと魔界でも聞いています…でもそれってほんの一部じゃないんですか?貴方達は魔界の街を見た事があるんですか?そこに暮らす人々と話した事はあるんですか?」
有希の訴えに皆何も言えずにただ聞いている…
「私の世界では人間以外の人類はいません…それでも人々は争って来ました…国同士の戦争で多くの人が命を落とした、私の世代では最早、それは過去の事ですが…それでも兵士でもない一般市民を爆弾で街ごと破壊する国だってありました…私達人間だって殺し合いをしてるんです、人間だって、感情に任せて人を傷つけるじゃないですか、でも、それが全てではないともしっているじゃないですか!なら、どうして魔族にもその考えを待たないんですか!?人間だって罪を犯す、それでも善良な人も沢山いる…魔族だって同じなんです…」
有希…泣いて…3年…有希は3年の間、魔界で…魔族達と暮らした…聞く話は俺達とも変わらない良心に溢れた人々の話…
「俺も、昨日魔族の街を見た…何も変わらなかったよ…住んでる種族が違うだけで…そこに住む…人が買い物して、子供が遊んで…大切な人と過ごす…何も俺達と変わらない…」
「……お前達が言う事なら信じてもいいのかもしれん…じゃがな、世界はそう簡単には受け入れられん…ユキ、お前も言った通り人間も罪を犯す…我らエルフでさえ愚かな行為に手を染める…人は異質なものを排除する…人同士ですら迫害や差別があるのじゃ…魔族がその輪に入れば真っ先に叩かれるぞ…」
「でも、その答えを持ってるのは人間、獣人、魔族の子供達じゃないかな」
ふと、ゼシアがそんな事を言う
「今の魔王さん…と言うか大人達?がやるべき事は次の世代の子供達にその迫害、差別をしない様な仲を作れば解決じゃない?そりゃ初めからうまくいくはずないよ?でも、やらなきゃ始まりもしないよ?やってみてもないのに無理だって決めつけるのは自分を貶めてるんじゃない?って思うわけですよ、私は…いや、私ってさ見た目サキュバスだけど、龍でもあるじゃん?お父さんとお母さんも種族違うしサキュバスは魔族、龍は神獣って呼ばれてるのに愛し合っちゃって私が生まれた…だから、私が証明にならない?種族を超えて、愛を育む!ね?そ・れ・に!アークとエルフのおねーさんも、異種族で婚約してるんでしょ?なら、無理じゃないじゃん?」
……………すげぇ
「ゼシア、すげぇな…なんかハマったわ…ストンって……あと、惚れたよ…」
「ふっふーん!……え?今なんて?………ふみゃ!」
「皆、俺は…ゼシアと婚約を結びたい…許してくれないか?」
「……不覚にも、その淫魔が言ったことに納得してしまったわ…ふふ、考えが固かった様じゃな…私は認めよう」
「ホント、アークの連れてくる子は手強いわね…私もいいわよ」
「私も、今の話を聞いて納得させられました…仲良くしてください」
「私も…問題…ない…です」
「…………」
「アン…帝国の事があるのはわかっているが…その」
「いえ、それはもういいのです…叔父上が愚かだったのは確かですしあの国の人間達は最早どうしょうもなかったですから…ゼシアさん」
「何かな?」
「たとえ、命を狙われても、どれだけ愚かな民であっても、こんな事を言う資格はないですが、皇族であった私には簡単に貴方を受け入れる事はできません…しかし、貴方が言ったことに私も同意します…ですから、認めます…アーク様を共に支える為に…」
「ありがと、えっと…」
「アンゼリカです、ゼシアさん…よろしくお願いします」
「こちらこそ、アンゼリカ」
2人は握手を交わした…どうやら、なんとかなったみたいだな…
「あれ?私は?」
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