第92話 帰還
「と、言うわけなんだよ、おにーちゃん」
「やっぱ、あのオヤジぶっ飛ばす…」
「それはハングに任せようよ…」
有希がこの世界に来てからの事を聞いた…俺に負けず劣らずに大変だったみたいだ…それに、俺が死んでからも辛い思いをしてきたのは申し訳ない…両親にも
それにしても、まさか有希の魔力量がここまで多いとは、俺よりはないけど母上よりもあるんじゃないか?すごいな…
「ん?どうしたの?おにーちゃん?」
「あぁ、いや…有希の魔法はゼシアから習ったんだよな?」
「そうだよ、ゼシアちゃんの教え方が上手ですぐに覚えられたよ」
そう言う有希だが、ゼシアが近づいてきて耳打ちしてくる、うっいい匂いが…落ち着け…俺
「それはユキの才能よ、言う事全部一回で覚えるし…見ただけで高度な魔法も使える様になった…しっかりと訓練すればかなりの使い手になるわ…でも、体が出来てないから接近戦は向かないわね…」
なるほど…やはり有希は天才だったか…
「ゼシアちゃん…何、おにーちゃんにコソコソ言ってるの?変な事言ってないよね?」
そんな話をしていると誰か尋ねて来たのか扉がノックされる
「失礼します、アーク殿、転移魔法陣の用意が出来ました」
カエル宰相こと、ハングだ
「そうですか、すぐに行きます」
帰りは自分で帰ろうかと思ったがこの魔界が何処にあるのか分からないから帰り方がわからない…ゼシアも疲れるから嫌だと言って転移してくれないし…そんなわけで城の転移魔法陣を借りて帰る事になった
「皆さん、本当にお世話になりました…この3年間は大変でしたがとても楽しかったです」
「こちらこそ、ありがとうございました… 魔族一同ユキ様に最大の感謝を」
「魔王として、不甲斐ない私の代わりに魔界を救ってくれてありがとう…自分に娘ができた様だったよ、ユキ君」
「えへへ…また遊びにきますね!」
「あぁ、いつでも歓迎するよ…ゼシア君、ユキ君の事頼んだよ……それに、アーク殿……いずれは人間とも国交を結びたいと思っている、その時は…」
「えぇ、まだ、私には何の権限もない若輩ですが、いずれは公爵家を継ぎ、是非ともこの魔界との関係を良好なものにしたいですね」
「感謝する…」
「それじゃあ、いずれ…」
「みんな、まったねー」
「またいつか!」
挨拶をすますと、見送りに来ていた魔族が皆、跪き
「「「「「「我ら魔族はホシミズ、ユキ様に永遠の感謝を!!!!」」」」」」
「……ぐす…皆さん、体には気をつけてください…」
本当に魔族は人間の敵じゃないんだな…有希の頭を撫でながらそんな事を考えていた
そして転移が終わり景色が変わると
「ここは…俺とゼシアが戦ってた場所か?」
「そうみたいだね…誰もいないね」
「あの…周りがめちゃくちゃなんだけど…2人は一体どんな戦いをしたの…?」
ハハハ、妹よ、そんな目で見るな…泣けてくる…
「あ、そういえば…ゼシア、帝国の兵士はどうしたんだよ森の近くに集めてたろ」
「あぁ、それなら…この魔道具の力だよ」
「何かの宝珠か?割れてるけど」
「アークとの戦いが楽しくてつい壊しちゃった…だから、あの時に帝国の死霊化は無くなってるよ、みんな土に帰ったんじゃない?」
「……有希、あのクソエルフからなんて聞いてゼシアをつかせたんだ?」
「えっとね、それが…」
「ユキは何も知らないよ、アイツと話したのはクソ野郎だけだし」
「クソ野郎?…でも、ゼシア、魔王の命令だって…」
「言ってないよね…クソ野郎は第一団長だよ、私もユキも嫌われててね…アイツ戦争とか大好きだから、私もいろいろ動いたんだけどダメでさ、できればユキの耳に入る前に方をつけようと思って…でも、帝国の人間は本当にクズばかりだったんだよ!しばらく様子見として観察してたんだけど、本当に人間なのかって思うほど…魔族の方がよほど善良だよ!」
……なるほどな…確かに帝国の連中のことはアンやヴァニタスから聞いているけど…でも、それでも…
「なぁ、帝国で生きてる奴っているのか?」
「殺したのは皇帝から腐った兵士までだよ、流石に民まで殺さいよ」
「……それでも、ちゃんと説明しないと俺の婚約者達は納得しないぞ…元とはいえ、帝国の皇女だっているんだ…来たぞ」
近くに魔法陣が現れそこからアメリア、ソロモン達が現れた…俺を見て安堵するがゼシアを見て一瞬で臨戦体制になった…
「なんでアンタがアークと一緒にいるのよ!」
うわ〜アメリアキレてる…ヤベェ…他のみんなも…相当怒ってるよ…
「えっとね!それは私達がアークと結婚したいからだよ!」
「「「「「……………は?」」」」」
ひぃ!!ゼシア!なんでいきなり言うんだよ!それじゃあ矛先が俺に…何笑ってんダァ!!お前!わかってて言ったな!
「アーク…お前…またか…」
またかとはなんだ!?ヴァニタス!!後で話をしようじゃないか
「アーク!どう言うことよ!」
「いくらなんでもそれないじゃろ!」
「最低…です」
「アーク様…まだ婚約してまもないというのに浮気ですか……?」
「私達では不満なのですか!?」
「わぉ!修羅場だね!」
「ゼ、ゼシアちゃん!」
何故、こうなるんだよ!!
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