第85話 出会い


いつも通りにただ作業の様に同じ事を繰り返す日々、学校に登校途中に突然、足元が光った…


眩い光に包まれてたまらず目を閉じる…すぐに光は収まったのか、目を開けると私は理解するのに時間が掛かった…どこ?


私はさっきまで、普通に道路にいたはず…なのに今は石だろうか…それで作られた通路に立っていた…壁には松明っていうのかな?火が着いた木の棒が掛かっている…今時、通路の明かりに火を使う?


ふと、前の方から音がした…何かを引きずる様な音…私は怖くなって反対側に逃げようとしたけど足が動かない…


通路の分れ道、右側から現れたのは緑色をした液状の何かだった…顔もないのに目があった気がした


「ヒッ………」


「うわぁぁぁぁぁ」


…………………………え?


なんか、あっちの方が驚いて逃げてしまった…え?私の方が怖いの?ショックなんだけど…


あの緑の液状の生き物は多分スライム…おにーちゃんの部屋にあった漫画とかゲームに出てくるモンスターだと思う…リアルで見た事ないから正確な事はわからないけど


とにかく、私はさっきのスライムが逃げて行った通路と逆の方へ歩みを進めた…しばらく進むといく先の方から金属なのかガチャガチャと複数の音が聞こえた、またモンスターかと思うと私は近くにあった扉を開けてそこに潜むことにした


身を隠し、通路に耳を済ませれば金属音は遠ざかっていく、なんとかなった様で安心した、してたのに…


「人間?何故ここに…?」


不意に後ろから声がした…全身の血の気が引いたのを感じた、しかも今、人間って言った…声の人は人間じゃない何かなんですか…


「しかも、まだ子供じゃないか…人間のお嬢さん、どうやってここに?」


質問されている…この状況では無視はできない…意を決して恐る恐る振り返ると、恐ろしい姿をした人型の何かがいた…


「言葉はわかるかい?」


「う……」


「う?」


「うわああああぁぁぁぁぁん…おかーさーん!!おとーさーん!!おにーちゃーん!!」


「ちょっ!ちょっとまって!!何故泣くんだい!」


私はたまらず泣いてしまった…もうパニックだった


「如何いたしました!魔王様!!」


私の泣き声で誰か入って来た…私はその人を見て


「ゔわあああぁぁぁぁ!!ガエ"ル"ーーー」


カエルが人間並みの大きさで二足歩行で服着てメガネかけて現れた!!キモい!!


「に、人間の娘!?ま、魔王様!アンタまさか!」


「ば、バカを言うな!攫って来てなどおらん!」


「まだ何も言ってないだろ!説明しろ!」


「うぇぇぇえん、化け物〜!!たすけてぇぇぇえぇ!!!」


「「ごめんなさい!!!泣かないでくださいぃぃぃ!!」」


私は暫く泣き続けて2人?をアワアワさせてしまった、ようやく落ち着きて来て泣き止むとカエルさんがティーカップに何かを注いでいる…何?怖いんだけど…けど、ほのかに紅茶みたいな香りがした


「どうぞ、お口に合えばいいのですが、落ち着きますよ」


カップを差し出されて咄嗟に受け取ると見た目や香りは紅茶そのもの…ちょびっと飲んだ


「あ…美味しい…」


「それはよかった」


カエルさんと怖い人も紅茶?を飲んでいるティータイムみたい…


「さて、それじゃあ、話を聞かせてはくれぬか?君はどうしてここにいるんだ?」


怖い人が私の事を聞いて来た…見た目はともかく悪い人?じゃなさそうなので今まで起こったことを話した


「いきなり目の前が光って気が付いたらこの城の中にいた…そして彷徨っていると偶然この部屋に…ふぅむ…どう思う?ハング」


城…?


「転移魔法でしょうか…恐らくはその類だと」


魔法…?


「あ、あの…」


「ん?どうかしたか?」


「城ってここはお城なんですか?それに魔法って…」


いや、こんな見た目人間じゃない人たちと出会ってるし,そういえばカエルさんが怖い人のこと魔王って呼んでた気がする…これってまさかおにーちゃんの漫画で読んだ…


「?君は魔法を知らないのか?人間はそういうものなのか?」


私,異世界転移しちゃったのぉ!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る