第83話 思いの丈
「バカな…あんな小僧がユキ君の兄だというのか…」
なんかおっさんが落ち込んでるけど無視だ!
「……ねぇ、ユキ?貴方これからどうするの?」
「え?どうって、何?」
「だって、お兄さんに会えたのよね、彼には帰る所がある、いつまでもここにいるわけにはいかないし、その時になったら貴方はどうするのかなって魔界に残るのか、お兄さんと行くのか」
「あ…そっかぁ…おにーちゃん今は貴族様なんだね」
「あぁ、この世界での父上、母上…それに妹も待ってる、俺としては有希を連れていきたいんだが…そこは有希の望むままに任せるよ」
「ありがとう…おにーちゃん。もう少し考えてみる」
「わかった…どちらにしても明日には帰るよ、どっかのバカが俺を無理矢理、拉致って来たから向こうはきっと大騒ぎだよ、絶対心配してる…」
おいこら…お前だよゼシア、こっち向け!
「あ、あはは…そ、そうだよね!君の婚約者達もきっと心配してるよね!」
「え?おにーちゃん、婚約者って…それも…達?」
「あぁ、5人いるんだよ…みんな大切な人たちだ…有希にも仲良くしてもらいたいんだよ…」
「…………………………わかったよ…」
あれ?有希が膨れている…どうしたんだ?
「…ねぇ、アーク…私を6人目にする気はない?」
「は?………」
いきなり何を言い出すんだコイツは…
「だってぇ、私の強さと並ぶ者なんて、魔族だって魔王さんくらいのものだもの!里にだって私より強い龍なんかいないし!長が息子を当てがってくるのもそろそろうざいから、私も好きな人を見つけなきゃなーって思ってて、でも私のタイプは私よりも強い人じゃなくちゃ!アークなら、私よりも強いし!何よりあなたと言う人間がすごく好みよ…ね?いいでしょう?私、半分はサキュバスなんだよ?天国に連れて行ってあげるから」
「待て待て!落ち着けよ!」
「そうだよ!ゼシアちゃん!私はそんなの認めないからね!」
「えー?なら、ユキも一緒にどう?今のアークって転生したからユキの実の兄ってわけじゃないんでしょ?血も繋がってないんだし」
「ふぇ!なななななにゃにいってるの!?」
「そうだぞ!いった「おじさんは黙ってて!!」…はい…」
なんだか雲行きが怪しくなって来た…確かに有希はちょっと中学生にしては懐きすぎじゃないかなーって思った事はあるが…まさか…いやいや、まさかな……ハハハ…逃げるか…
「おにーちゃん、動かないで、座ってて…」
逃げられなかった…なんか、ゼシアと隅でコソコソ話してるし………
確かにゼシアは美女だ…桃色の髪は長くきめ細やかな美しさ…角はあるけど…目は緋色で綺麗だし健康的な体だ……はっ!俺は何を考えている!アメリア達に申し訳ないな…
有希は…記憶に残っている姿よりも大人になって…可愛いと言えば可愛い…学校に行っていればさぞモテたんだろう…確かに今の俺は有希とは血が繋がってない…別人だしな…んー…どうしよ…
「おにーちゃん!」「アーク!」
「な、なんだよ…」
「「私達もついていく!!」」
「え?有希だけじゃなく、ゼシアも?」
「え?ユキ君、ここ出て行くの?そんなのむぐっ!」
「ゼル様、今は邪魔をしてはいけません…それに決めるのはユキ様です…というかさっさと魔王の座に戻って公務をして下さい…」
端で揉めてるけど放っておこう、こっちが大変だ…
「アークの婚約者達に私達の気持ちを伝えて認めてもらえれば文句ないでしょ?」
「お、おい…気持ちって…」
俺の正面に立ち真剣なでもどこか照れている表情でいるゼシア…
「なかなか、緊張するわね…私、ゼシアはアークが好きよ…貴方と戦っている間はとても楽しかった…貴方なら私の全てを曝け出せるわ!」
……なぁ、これって受け入れたらまた戦わないといけないの?ゼシアってホントに強かったよ?正直やだなぁ…でも、今言える雰囲気じゃない…
ゼシアは有希と場所を変わる…有希も真剣の様だ
「私はおにーちゃんが好き…前の世界からだよ?でも妹だからこの気持ちに蓋をしたの…でもおにーちゃんは死んじゃって…すごく後悔した、気持ちを伝えておけばって…だから、もう後悔しない、私はおにーちゃんが好き!姿が変わってもおにーちゃんが大好き!」
………まいった…こんなに真剣に想ってもらえてるなんて…
「……わかった…2人共の気持ちは嬉しい…けど、俺には婚約者がいる5人も…彼女達に黙って俺だけで決めることは出来ない…彼女達と話して許してくれるなら2人を俺の婚約者として迎えるよ、約束する」
「「はい!待ってます」」
2人の笑顔はとても魅力的だった…
みんなになんて説明しよう…帝国の事もあるし…有希はともかく、ゼシアがなぁ…はぁ〜
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