第82話 天才


「それで?いい加減にユキがアークを兄と呼ぶ理由を聞かせてくれない?」


有希にめちゃくちゃ怒られた俺達は城を直してから今は食事をしている、俺、有希、ゼシア、ついでに魔王とカエル宰相もいる、5人で食卓を囲む…出された料理は懐かしいものばかり…


「なぁ、これって生姜焼きだよな?味噌汁もあるし、有希?」


「うん、魔界に大豆と似た様な豆があったから味噌とか醤油とか作っちゃった!」


なんで女子高生が味噌とか醤油の作り方知ってんの?それでなんで成功させてんの?妹よ…神か…


「なるほど…有希は天才だったか…流石、俺の有希」


「もぉー褒めすぎだよぉ〜」


「おい!小僧!馴れ馴れしくユキ君に触れるでない!というか何故ここにいる!?いつもは我々4人で食事を楽しむというのに…」


「落ち着いてください、ゼル様…先程もユキ様がご説明されていたではありませんか…アーク様と共に食事がしたいとユキ様からお誘いしたと…」


鬱陶しい魔王をカエル宰相が宥めている…ゼルっていうのか魔王…


「しかし!ぐぬぬぬ……」


「もう!私の話聞いてるの!?なんで!ユキはアークを兄と呼んでるの!?」


なんか、ゼシアが怒ってる…わかったわかったから睨むのをやめなさい…


「あー有希、どこまで話したんだ?」


「えっと、私がこの世界とは別の世界から来たって事だけ」


「わかった、えー実は俺転生者なんだよ、前世の俺が有希の兄貴」


「ざっくりすぎるわよ!…てか、転生…ねぇ、ハング…そんなことありえるの?」


「どうでしょう…少なくとも私は存じ上げません…」


「魔界一の知恵者であるお前が知らないのなら他に知っている者もいないだろう…その話が本当ならな」


「別にお前に信じてもらえなくても構わないさ、カエル宰相さん…えっと、ハングさん?」


「ハング、でよろしいですよ、私は信じますよ…何よりもユキ様が貴方を兄と呼び慕っているのですから」


「わかった、ハング…妹が世話になったみたいで、礼を言うよ…ありがとう」


俺はハングに頭を下げる


「そんな!寧ろこちらが救っていただきました、ユキ様には我ら魔族一同、返しきれない恩があります、幾人もの民を飢餓から救う事が出来ましたから」


「そうか…頑張ったんだな、有希は…」


俺は有希の頭を久しぶりに撫でる


「あ…えへへ、皆が協力してくれたおかげだよ」


「わかった、ユキが言うならその話を信じるよ…しかし、転生かぁどんな感じなの?」


「どんな感じって言われても…向こうで死んだと思ったら、赤ん坊になってた」


「あ、ごめん」


「気にするな、病気だったんだ仕方ないさ」


「うがーーー!!!」


「「「「うるさい((です))おっさん(おじさん)」」」」

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