第80話 思ってもみなかった再会
「さて、もう連絡はいってるから謁見しよっか!」
「もうか?いきなり魔界に連れてこられたと思ったらいきなり魔王に対面かよ…」
急展開にも程がある…スタンピード以上の魔物の大群の殲滅、エルフの復讐の阻止、魔族との戦闘…挙句、魔界に連れてこられて魔王に会えって?なんで俺は転生してまでこんな破茶滅茶な人生を送っているんだ?
しばらく城の廊下を歩いていると大きな扉の前に着いた、扉を守る様にミノタウロスが2体陣取っているし、装飾の派手さからここが謁見の間かな?
「んじゃ、いい?」
「あぁ、大丈夫だ」
ゼシアが片手を挙げると、ミノタウロスが扉を開ける、彼女が進みだしたので後に続くと、多くの魔族が並んでいる…人間で言う貴族たちか…
そのまま玉座まで進むと
「ここで待ってて、立ったままでいいから」
そう言うとゼシアは玉座の側に移動して行った
それを合図の様に
「魔王陛下の御成です」
大臣だろうか…メガネを掛けたカエルの顔をした魔族が宣言する…何族だ?
少しの間のあと、傍から玉座に向かってやってくる人物が見えた…懐かしい高校だろうか?学生服だ…おっと、これでも王族だ、最低限の礼をしないとな、俺は膝を降り頭を下げる…チラっとゼシアが目に入ったが、申し訳なさそうにしていた…気にするな、ルグウィン家の俺の信条だ…
「人間の国の王族…アーク様、と申しましたか…表を上げてください」
俺は、その声を聞いた瞬間に全身の毛が逆立つのを感じた…理由はわかる…聞き覚えがあったんだ…当然、前世の頃だ…毎日聞いていた…間違えるはずがない…恐る恐る顔を上げ、俺を呼んだであろう、魔王と呼ばれる少女の顔を見た…
その少女は、前世の俺の妹だった…黒髪をポニーテールに纏めて、大きくなったなぁ…見た目は高校生くらいか…ん?俺が死んで既に15年が経っているのにまだ高校生?どう言う事だ?
「有希……」
俺はたまらず名を呼んだ…呼んでしまった、俺の声が聞こえたのか目を見開き驚きの表情を浮かべる…今の俺は秀じゃない、アークだ…外見も何もかも違うのに…まずい…
「ど、どうして私の名前を…貴方は………みなさん、この人と2人で話がしたいです…下がってもらえませんか?」
それは王の命とは言えない、お願い事…
「ユキ様、流石にそれは…安全を考えると承知致しかねます…」
カエル大臣が諌める…やめろ、そんな顔で有希に近づくな…消すぞ…
「ですが…」
「ならば、私が残ります…それでよろしいではないですか?宰相殿?」
「ふむ、ゼシア殿なら信頼できる、如何ですか?ユキ様」
あいつ宰相だった…カエル宰相…笑えねぇ…
「分かりました、ゼシア、お願いします…」
「承りました…」
「それではアーク様、応接室にご案内いたします」
「わかりました…」
場所を移して有希との対面となった…不味いなぁどう誤魔化すか…
「さて、ここは防音もされているのし外に会話が漏れる心配もないから、好きに喋っていいよユキ」
「ありがとう、ゼシアちゃん…それじゃあ、アーク様、改めて、魔王国の王様をやっています、星水有希と申します」
随分とゼシアと仲がいいみたいだな、おっと
「アストラル魔法王国、ルグウィン公爵家嫡男アークライド・ルグウィンと申したます、魔王陛下」
「その呼び方はよしてください…有希、と呼んでください」
眉をへにゃらと下げ、困り顔でお願いしてくる…
「しかし……わかりました、有希殿…私の事も様はいりませんよ」
ゼシアをチラリと見ると頷かれたので要望通りにした
「ありがとうございます、アークさん…では、本題です!初めて会ったのにどうしても私の名前を知っているのですか?」
「い、いや…それは…」
「言いたくない様ですね、じゃあ、私の予想を言います…貴方…おにーちゃん、星水秀じゃありませんか?」
「誰ですか?それは」
「おにーちゃん!!!」
「なんでぇ!?」
泣きながら抱きつかれた…
「アーク…嘘、下手すぎ…」
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