第79話 魔界
一瞬で周りの景色が変わった…転移させられた…クソ!
「いい加減、手を離せ…」
「うっ……わかったわよ…そんなに怒らないで…無理矢理連れて来たのは謝るから…」
ぐっ……ゼシアは見た目はアメリア達と並ぶ絶世の美女だ…流石は淫魔…なんとも扇情的な…そんな彼女がしゅんとしている…………はっ!俺は何を考えている!?アホか!?
「はぁ…もういい…連れてこられたからな…ここは……魔界、なのか?」
どう見ても普通の部屋だな…しかも、なんだか女の子の部屋って感じだが……え?
「お、おい…ここって…お前の部屋か?」
「え?そうだけど?」
「…………………そうか」
なんでコイツは今日あったばかりの男の俺を部屋に拉致ってんだよ!あれか!?淫魔らしく俺から吸おうって腹か!?いやいやいや!俺には好きな人が……
「何してるのー?早く〜」
「ふざけんな!俺には婚約者がいるんだぞ!」
「いや…早く魔王ちゃんのとこ行こうよって言ったんだけど?」
「へ?…………………………ゔゔん!わかった、行こうか」
「いや、そんなキリッとしても誤魔化されないよ?」
くっ!殺せ!………おい、ニヤニヤするな!
「ふ〜ん、アークは一体どんな想像をしたたのかな〜私に教えてごらん?それ、やってあげようか?」
「うるさい!さっさと案内しろ!」
「あははは!わかったわよ〜」
部屋を出るとどうやら街中の様だ
「お前、団長とか言ってたな…城には住んでないのか?」
「ん〜私は新参だからね〜あんまり他の団長と上手くいったなくてねぇ〜こっちの方が楽!」
「そうか…魔族にもそういうのあるんだな」
なんか、人間みたいだな…街を見渡すと魔族ばかり…だが、普通にリザードマンが買い物したり、オークの子供達が走り回っていたり、あれは…アラクネとゴブリンがデート…なのか?をしている種族が人間でないだけで王国の街と変わらない…
「何にも変わらないでしょ?貴方たちと」
心を読まれたかの様にゼシアに言われた…
「あぁ、平和で…いい街だ…」
「えへへ、そうでしょ?……でもね、少し前までこうじゃなかったの…食べ物も碌な物がなくてお年寄りから子供まで必死に働いてようやく一食ありつけるかどうか…魔界では貴方達の世界の様な作物は育たない、ここにいる動物も魔物ばかり、本当に酷かった…私は産まれが龍の里だったから食べ物には困らなかったけど、ここに来た時は可哀想な人達が溢れていた…それを変えたのが魔王ちゃん、あの子はここにいる全ての人を救ったの…」
魔王…転移で突然現れた人間…しかも、子供…この世界の知識は俺の前世の世界よりも遅れている…この世界の子供がここに転移したのなら、そもそも魔族に協力はしないだろう…なら、考えられるのは前世の俺と同様、異世界転移者だ…元同郷か…別の世界か…
「それでね!……アーク?聞いてるの?」
「え?あぁ、すまない…」
「もう!ほら見て!あれが魔王城だよ!」
「………うわぁ」
見た目まんま魔王城……今からあそこに行くの?やめようかな…あ、手を掴まれた…行くしかないかぁ…
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