第74話 殲滅開始(中央)
「それでソロモン…いい加減に貴方を襲った奴の話、してくれないか?」
アメリア、ソロモンと共に森を駆ける俺はずっと気になっていた事を聞いた
「ちょっと、アーク…お師匠の気持ちも…」
「既に個人の事情を大きく超えている事態になっている…俺はこの国の公爵家の跡取りとして王族として王国に住まう人々を守る義務がある、悪いけど婚約者だからと言ってそこは曲げられない…それに、帝国の兵…恐らく全員生きてはいないだろうな…魔力の感じからしてアンデットか?…という事だ、ソロモン、話してくれ…同族を庇っているなら、もう諦めてくれ」
「………すまぬな、嫌な役をさせてしまって…奴は、私とは直接の関わりはない…ただ、同族というだけだ、しかし…私も長年生きているが母親以外のエルフに会ったのは初めてじゃ…」
ソロモン達エルフは人間の手によって滅ぼされた、俺としてはソロモンが人間に恨みを持っていないのが不思議なくらいだ
「あの日、森に違和感を感じ…お前達を見送った後…家を出たら奴がいた、向こうも驚いた様子じゃった…恐らく今回の件の下見にでも来たのだろう…それがまさか同族に会うとは思っても見なかっただろうな」
「そして、奴は勧誘して来た…ある計画を成すために協力しようと人間に復讐しようと持ちかけて来よったわ…当然、断った…私も余計な事を言ったのだろうな、人間の婚約者がいると言ったら、血相変えて襲って来よったわ…私も応戦したが…どうにも本気になれなんだ…それであの始末じゃ…情けないのぉ」
「嬉しかったんじゃないか?」
「嬉しかった?私がか?」
「あぁ、何百年も会う事がなかった同族だ…きっとソロモンは嬉しかったんだよ…そりゃそうさ、やっと会えた家族だからな…例え血が繋がっていなくても同じエルフ、しかも数少ないそれこそただ2人のエルフかもしれないんだ、そんな奴と戦うなんて出来ないよ…ソロモンは優しいから」
「うん、お師匠は優しい人だもんね…普通なら私達人間を恨んでもおかしくないのに、帰る所を失った私を拾ってくれてお母さんみたいに接してくれて、だから…私、怒ってるの!私達の大事な家族を傷つけた奴を許してなんかやらない!エルフだって私が引っ叩いてやるんだから!」
「それは俺の役目だぞ、アメリアは雑魚狩りだ」
「なんでよ!アークが雑魚の相手をすればいいじゃない!」
「ふふ…あはは…」
「ソロモン?」「お師匠?」
「いや、なんでもない…お前達、戯れてないで急ぐぞ、国境に近づく前に終わらさんとな…………ありがとう…」
「あ!待って!お師匠!」
「アメリア、見えたぞ」
話しているうちに目標を発見した…多いな…
「よく、これだけの魔物を使役しとるの…」
「アメリア、頼む」
「なんで私だけなのよ!2人も手伝って!」
3人で魔物の大群に手をかざし魔力を収束させる…メインはアメリア、稲妻を発している魔力に俺とソロモンの魔力を乗せる
伝説の大魔法使いとその弟子2人…放たれる魔法は森を埋め尽くしていた魔物達を灰燼へと変えた…
舞い上がる砂塵からは2つの人影が見える
俺とソロモンはすぐにその影に向かって突っ込んだ
「アメリア、撃ち漏らしもちらほらいる…任せたぞ!」
「分かってるわよ!私の分も殴って来てよね!」
剣を抜きエルフにら斬りかかる…奴も剣を抜いて俺の一撃を受け止めた…その衝撃で周りの森の残骸が吹き飛んだ
「任せろよ……よう!俺の嫁によくも傷を付けやがったな…クソエルフ…」
「なんなんだ!貴様は!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます