第75話 混血


鍔迫り合いをする俺達はお互いに初めて顔を合わせる


「薄汚い人間が何故ここにいる!?」


「失礼だな…それにそれはこっちの台詞だ!」


「なっ!……ちぃ」


力を込めてエルフを弾き飛ばす、すかさず風刃を放ち追撃するも弾かれてしまった


「……この力…本当に何者だ?あの裏切り者の血でも使ったか?」


……は?コイツもしかして


「お前…バカかよ」


「貴様!人間の分際でこの俺を侮辱するか!」


「バカにバカって言って何が悪いんだよ…お前達が目標にしているのは魔法国だぞ…とっくの昔にエルフが魔法の触媒になんかならない事くらい解明されてんだよ…それなのに、現実を受け止められずにエルフ自身の忌み嫌う過去を挙げるなんてバカ以外のなんだっていうんだ?」


「黙れ!貴様ら人間が我が種族を滅ぼした!それは変わらぬ事実だ!」


「はぁ〜…お前、エルフとしてはまだガキだろ…人間に換算すれば俺とそう変わらないんじゃないか?」


「何を…「その証拠にお前は人間を憎んでいる」


「な、何を…貴様ら人間が意味のわからない儀式だの触媒だのに我らエルフを捕え切り刻み殺したのではないか!」


「お前の親は何も教えたないんだな…いや、その事を親ではない、しかもエルフでもない誰かから聞いたんだろ」


「人間がエルフを滅ぼした…それは嘘だ」


---------------------


〜ソロモン視点〜


無数の魔法が空高く上がっていく…


「あはははっ!エルフのおねーさん強いねー今のは死んじゃうかと思ったよ!」


様々な属性の魔法を同時に撃ち込んだが、悉く躱されてしまっている


「余裕で躱しておいてよく言う…この淫魔風情が…」


私の魔法をここまで交わすとは…早いだけではない、ふざけた態度とは裏腹に相当な強さじゃな…コウモリの様な羽に山羊の角、それに尻尾…サキュバス…厄介じゃのぉ


「あ!私、サキュバスじゃないんだよ?いや、半分はそうなんだけど、もう半分は龍なの!」


「………は?」


「あははは!面白い顔!皆、この事聞くと同じ顔するね!」


ありえんぞ!淫魔と龍の混血じゃと!?

淫魔は魔法適性がエルフ並みにあるが、魔力総量は種族としては低い…だから、淫魔は催眠や誘惑などの魔力消費の少ない魔法しか使えぬ…だが、そこに龍の血が入れば話が違う

龍種は尋常ではない身体能力、鱗による圧倒的な頑丈さ、そしてこの世界随一の魔力保有力…そんな物どうしろというんじゃ!


「うふふ…おねーさんは私の事をよく分かってるみたいだね…勿論、見た目通り血はサキュバス寄りだけど、ちゃんと龍の力もそれなりに受け継いでるよ?例えば〜」


一瞬、淫魔が消える…そして腹に激痛が走り、私の体は吹き飛んだ、何本もの木々を薙ぎ倒しながら…


「……っ………ごふっ……全く、治してもらったばかりじゃと言うのに…」


「おー生きてる、殴られる瞬間にお腹に障壁を張ったみたいだね!あれがなきゃ穴が空いてたよ?」


「確かに…淫魔とは思えない力じゃの…龍の血か…厄介すぎるの…」


「んーパワーだけじゃないんだけどな!」


奴は跳躍して飛び蹴りをかまして来よる…いかん!体が…次は耐えきれんぞ…


「私のお母さんに何してるのよ!!」


「ふぎゃ!!」


目の前に閃光が走ると淫魔が吹き飛んだ…


「アンタは私が倒す!」


全身から稲妻を走らせる頼もしき娘が私の前に立っていた

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