第72話 殲滅開始(南)
〜アルシェール視点〜
凄まじい速さで進むアルを見失わない様に必死に追いかけるアンとヴァニタス、2人は使命感に駆られた様な顔つきでいる事にアルは気付いていた
「…2人共…不安…です?」
「え?あ…不安…そうですね、確かに不安です」
「俺達は強くなった、それは感じている…だが、索敵で感じる魔物の数は500ほど、それを俺達2人で殲滅するなんて無謀だと思っているのは確かだ」
やっぱり、2人は気付いていない、アーク様とソロモン様の修行が普通どころかあり得ないものである事を…
「それは…大丈夫…です…2人なら…問題なく…殲滅…出来る…です…でも…それだけじゃ…ない…です…帝国が…理由…です?」
「「!!」」
図星って顔だ、わかりやすいな…初めて見た時はもっと警戒心が強かったのに…距離が縮まったのかな?
「2人共…帝国から…狙われていた…です…それに…今…王国を…守ろうと…してる…です…私達は…魔物を…殲滅…させる…事を…考える…です」
それに、帝国にも何かあったみたいだし今、2人に言う必要ないかな
「…わかりました、思う所はありますが、今は目の前のことに集中します、露払いはお任せを」
「…だな、アークや、アル殿が問題ないと言うのなら信じるだけだ」
2人はお互いに頷き合いこちらを見る、私も頷く、すると魔物の大群が見えて来た
「見えた…です…大群の…最後尾…私は…突っ込む…ので…後は…任せる…です」
「「お任せを!!」」
2人の返事を聞き、大剣を抜く
魔力を纏わせ一閃…魔物の大群の中央を大地ごと抉った、そのまま地を蹴り駆ける
北の方で二つ大きな魔力を感じた、あちらも始まった様だ
「これがSSSの冒険者か……!!」
「凄い…私達も!」
チラリと後ろの2人を見るとそれぞれ魔物を倒している、問題なさそうだ
次々来る魔物達を斬り伏せながら、進む…今は前に進む事だけに集中する、残りの魔物は2人に任せた
強い魔力を目印にしばらく進むと殺気を感じ急停止して飛び上がる、私の進行方向が爆発した
「今のを躱すか、少しはやる様だな」
黒い鎧を着た大きな人型の魔族を目視した、大きな戦斧を持ち頭は牛の様だ…ミノタウロス!
「我が名は、アゴウ!!人間の戦士よ!貴様の名は?」
「アルシェール…です…あなたが…魔物を…操って…いる…です?」
「違う、我にその様な力はないし、興味もない我はただ強き者と戦う事が目的だ、貴様の様な、な!」
戦斧を大きく振りかぶり、突進してくるアゴウに対し、私は一歩も動かなかった
「ふぅんぬ!!!…………なに!?」
SSSランクの冒険者アルシェール
彼女は生まれながらにして英雄だった、身体能力が常人のそれを遥かに越えいた、彼女は魔力を持っていても身体強化以外の魔法は使えない、しかし秀、ソロモンと出会うことでその力は最強の域へと昇華された
私は大剣で受け止めるでも、避けるでもなく、素手でアゴウの戦斧を受け止めた
「バカなっ…片手で……っ!!動かん…」
「…さよなら…です」
「まっ!」
私は大剣を横に払う…アゴウは真っ二つに上半身と下半身が分かれた
「終わり…です…弱すぎ…です…残りは…少し…手伝う…です」
そう言って私は大剣を構えた…
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