第70話 ダメ


僕らはソロモンを襲った犯人を探す為に出発しようとした時、城から早馬が来た


「失礼致します!エレナ魔法師団長はおられますか!?」


どうやら母上に急報があったみたいだ、暫くして母上がやってきた


「要件は?」


「王より緊急の案件です、既に騎士団長は城へ、魔法師団長は魔法師団、騎士団の混合隊の編成する様にと命令です!」


「承知しました、詳細は後程聞きます…エマ、支度を」


「かしこまりました、奥様」


少しの時間で準備を済ませて再びやって来た母上は普段は見られない隊服に身を包んでいる


「おかーさま、かっこいい…」


いつの間にか来ていたエステルが目をキラキラさせて母上を見ている、そんなエステルを抱き抱えて


「ふふ、ありがとう…エステル、アーク、少し行ってくるわ…エマ、後は頼みます…皆も師匠の事よろしくね……行ってくるわ、エステル、アークも」


エステルと俺の頬にキスをして、母上は颯爽と行ってしまった…

てか、ソロモンなら…って、あれ?ソロモンは?

あ、あんな隅に隠れて…


「ソロモン、なんで隠れてたのさ?」


「さっきまで死にかけてて、普通に立ってるのを見たら驚くじゃろう?」


まぁ、確かに……でも、それなら目を見て言えよ…


「エレナ様、普段とは別人みたいに凛々しかったわね…」


「まぁ、普段はあんなでも師団長だしね…それより、何かあったのかな?」


「アーク様、恐らくソロモン様が襲撃された事への警戒かと」


「確かに…ソロモン様を打ち倒すほどの実力者が国の近くにいるんだ…入国して来て暴れられでもしたらどんな被害が出るか…」


「この国で奴の相手が出来るのはここにいる私とアーク、ギリギリ、アメリアくらいじゃな…エレナやアドルフ殿では勝てんじゃろ…軍など死人が増えるだけじゃ」


「取り敢えず、ソロモンの家に行こうか…」


「大丈夫…です?…まだ…敵が…いるかも…です」


「そうだなぁ…んー……」


「飛んでいけばいいのではないか?」


「あ、そっか」


「「………は?飛ぶ?」」


「あぁ、アンとヴァニタスには教えてなかったな…………ホラ、飛行魔法だよ」


俺は、魔法を行使してフワリと宙を浮くを


「…………………えぇ…」


「何を当たり前の様に浮いているんだコイツは…」


「……驚きますよね、普通は」


「本当に…アーク様は…規格外…です」


「それ出来るの、お師匠とアークくらいよ?」


「なに、私ら2人でお前達も運んでやる、さっさと行くぞ」


「その前に、城に行って会議を覗こう…何が情報があるかも」


「あ、あの…皆様、なんのお話をされているのですか?」


あ、エマとエステルがいるの忘れてた…


「アーク様、まさか…ソロモン様を襲った相手の所に行くつもりではありませんよね?」


「そーなんですか!?おにーさま!」


「そんな訳ないだろう?」


「嘘ですね」


「おにーさま、嘘ついちゃダメ!」


あれれー?おかしいなぁ、俺ってそんなに嘘下手?


「産まれてからアーク様を知っているのですよ、当然です」


「当然だよ!」


「アーク様…」


「げっ…カノン…メイ…」


「ひどい言い草ですね…それよりアーク様、何処へ行こうと言うのですか?学園の課題はまだ残っております…アンゼリカ様も」


「そうですよ!お二人ともお部屋にお戻りください!ソロモン様も無事なのですから」


「い、いや、ちょっと皆で行かなきゃいけない所が…」


「ダメです、やるべき事はきちんとなさってください…でない…と………」


突然、エマ達が倒れた


「ちょっ!カノン!?…エマ、メイ……エステル!!」


「申し訳ありません、緊急の為眠っていただきました」


「シャル…ごめん、ありがと」


「お気になさらず…急ぎましょう、まずは事態の把握の為に城へ」


「わかった…」

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