第68話 会議
「……もう一度言って貰おうか…」
ここは会議室、帝国からの使者により異常事態が進行していると判断したアルガルドはすぐさま諸侯を召集、今後の方針を話し合っていた、アドルフも屋敷へと帰る途中で早馬から事情を聞くなら反転し急ぎ城へと戻り、早馬はそのままルグウィン公爵家へと向かいエレナに魔法師団、騎士団の編成を命ずる王の書簡を届けた
その為、アドルフは今、魔法師団、騎士団の代表として参加しているのだが
「おや、聞こえませんでしたかな?では、今度はしっかりと聞いていただきたい…ルグウィン卿、貴方のご子息に此度の事態の収集に参加してもらいたい」
会議が始まって宰相より説明され、殆どの貴族が半信半疑であった、そもそも、ソロモンが王国に戻って来ているのを知らない貴族も多い、知っているのはごく数名だろう…しかし、その強さは誰もが知っている…生ける伝説と言われる大魔法使いソロモン、彼女を討ち倒す敵が国のすぐ近くに存在するなど信じられなかった…
そして、帝国による突然の宣戦布告…情報が足らなさすぎる…諸侯達もどう動いたらいいか悩んでいる様だったが王が諌め対策を話し合っていたのだが…
「……はぁ、私の耳がおかしくなったわけではない様だ…エルス伯爵…何故、我が息子を?理由をお聞かせ願おうか…」
防衛の話し合いの途中、突然エルス伯爵が我が子を戦場へやれと言って来た…剣を抜かなかった自分を褒めてやりたい、他の貴族は冷や汗をかいている様に見える…大方、自分の部隊にアークを入れて戦果を上げ派閥内の発言力を高めようというのだろう…浅はかすぎる…このエルス伯爵…いや、この愚か者は揚々に立ち上がり
「惚けるおつもりかな?貴殿のご子息は学園では既に教師すらも超える力を持っているそうではないですか、それに婚約者の方々も大魔法使いの弟子、SSSの冒険者、学園の理事長、帝国の元姫…これだけのせんり「もういい、喋るな…」ヒッ!!」
理由になっていない意味のわからない事をペラペラと喋るこの愚図に我慢ができなくなった俺は立ち上がり睨みつける、すると奴は腰を抜かしやがった…軟弱者め、俺の家族を戦力だと?殺すか…
「お前達がくだらない政争をしていようが国の民を傷つけなければ俺は関与せん…だがな、俺の家族…息子とその愛する者達を貴様らの薄汚い欲望で汚す事を俺が許すとでも思っているのか?ルグウィン家を、いや、この俺を敵にしたい様だな…貴様らは」
ゆっくりと立ち上がり、愚図に歩み寄り剣に手を掛ける…奴の正面まで来ると剣を抜こうとしたが
「アドルフ、その辺でやめておけ…伯爵以外にもお前の殺気で気を失っている者達もいる…」
「……………………」
奴から目を逸らす事なく王の言葉を受けるが、聞き入れる事はできなかった
「はぁ…エルス伯爵…アドルフの息子は余にとっても可愛い甥だ、そんな子を危険な戦場へ送ることなど出来ない…どうやら君はここにいるのに相応しくない様だな、退室しなさい…」
「………なっ!お、王よ!」
「2度は言わない…王族に対しての無礼、余も許せるのは一度きりだぞ?」
アドルフの殺気により放心状態だったエルス伯爵は王の言葉により我に返り、意見を述べようとするも王に取り合ってもらえずそれどころか釘を刺された
「…承知しました…」
すごすごと会議室を出るエルス伯爵を見送り、王は立ち上がった
「皆にも言っておく、我が甥、アークライド・ルグウィンを政争に関わらすことは余が許さん、お前達は忘れている様だがルグウィン家は分家扱いとはいえ王族の家系だ、その後継であるアークライドの地位はお前達より上と知れ!」
「「「「はは!!」」」」
アルガルドの言葉にアドルフは黙って頭を下げた…
「だが、国を守る為ならば…すまない、アドルフ…」
国王の呟きは誰の耳にも届かなかった
「全く、父上も叔父上も…ありがとうございます…そして、ごめんなさい…」
「愛されてますね」
「照れてる…です?」
「あら、ほんと…顔が赤いですよ?」
「うるさいなぁ…さ、行くよ!まだギリギリ全容は知られてない、さっさと行って片付けよう」
「そうね、私達じゃないといけないもの、でもお師匠…本当に大丈夫ですか?あんなに重傷だったのに」
「確かにな、お陰で大事に取っておいたお宝を使う羽目になったがの…だが何より、私も行かねばならん」
暗躍する者達がここにも…
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