第66話 残る不安
ソロモンの治療が終わったのは翌日の夕刻だった
「傷は治ったわ…血も必要な量の輸血は終わった、あとは、師匠次第よ…お疲れ様、アメリアちゃん…よく、頑張ったわね…王妃様も駆けつけてくださってありがとうございました」
「はい…」
「もう、堅苦しいわね…親友にかける言葉は違うんじゃないかしら?」
「ふふ、そうね…ありがとう、ミレディ…本当に感謝してるわ」
「私からも、ありがとうございます…王妃様、お師匠を助けてくれて」
「私は貴方達の補佐をしていただけ、2人が居なければソロモン様は助からなかったわ」
父上が城に早馬を出してくたお陰で、ミレディ王妃様が駆けつけてくれた、母上、アメリア、王妃様の3人のお陰でソロモンの傷は綺麗に治った、流れて失ってしまった血も、ヴァニタスとアンの輸血で間に合った…あとは彼女の生きる力次第…
俺は処置が終わるまでずっと手を握っていた…本当に情けない…愛する人が死にかけてるのに何も出来ない自分が情けなくて仕方ない…皆、ソロモンを助ける為に出来ることをやっていたのに…
自責の念に沈んでいると握っていた彼女の手が俺の手を握り返してきた
「ソロモン!!」
俺はすぐさま彼女の名を叫んだ…ゆっくりと目を開け、俺を見つめてくる…そして、へにゃりと笑って
「なんじゃ……泣きおって………私が死ぬと思ったのか…バカが……………ずっと…お前を感じておったよ………………ありがとう…………」
「ぁ………………」
その一言で俺は救われた気がした…
「はは…父上は凄いな…本当に………」
俺にも出来ることはあったんだ…
「ありがとう…生きてくれて……ありがとう……」
「全く……エレナ、アメリア、ミレディ…世話を掛けたの…」
「何をおっしゃいますか…ソロモン様…本当に良かったです」
「師匠……助けられて良かったです……」
「お師匠…良かった……よがっだよ〜」
3人共、涙を流しながらソロモンに寄り添っている
「皆にも、礼を言おう…ありがとう、お陰で助かった」
「いえ、私達はそこまでのことはしておりません、全てはお三方の力あってこそです、それと」
「アーク様の…お陰…です」
「そうだな、ずっと側にいたアークもだな」
「ええ、アーク様がいなければソロモン様は戻ってこなかったかもしれません」
「いや、俺は……」
「お前に呼ばれた気がしたんじゃ……じゃから…すまん……少し……寝る…」
そう言い残し、彼女は眠ってしまった
「とりあえず、これで安心ね…でも、ソロモン様をこんな目に合わせる人間がいるなんて…相当の実力者じゃないと無理なはずよね?」
「はい、お師匠は常に周りに探知魔法を張り巡らせているので不意打ちはまず出来ません、なので相手は正面からお師匠を倒したと思います」
「しかし、そんなことがあり得るのか?ソロモン様から、指導を受けて改めてわかったがこの方の実力はこの国、いや世界でも1、2を争うぞ、それを…」
「私は陛下にこの事態を伝えに戻ります、もし、国にとって害となるならば対策をしなければ……ソロモン様の無事も伝えておきます」
「私も行きましょう、エレナ、後は頼めるか?」
「ええ、任せて」
父上も王妃様について行った
……ソロモンが負けるほどの敵…一体、何者なんだ…
「準備できたわよ〜って、あら?その怪我どうしたの?」
「気にするな、何も問題ない…始めよう」
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