第58話 幸せに
「あー…盛り上がってるとこ悪いんじゃがの、そろそろいいか?」
「「!?」」
キスしようとすると寸前に師匠の声で俺たちは慌てて離れる…し、しまった…皆の前だって忘れてた…やっべぇ…超恥ずかしい…アメリアなんか顔真っ赤で湯気が見える気がする…
「よし、アメリアと結ばれたのは喜ばしい事じゃ!アークよ!その勢いで私らにも想いを告げよ!」
「いや、何言ってんの!?」
「腹を決めろと言ったじゃろ?さっさと私ら全員を娶れ!」
「ホント、黙ってもらえます!?」
「アーク様は…私達と…夫婦に…なるのは…嫌…です?」
「ア、アル…」
「私の事…好きじゃ…ないなら…そう…言って…ください…です」
そ、そんな泣きそうな顔しないでくれよ…
「お、俺は複数の妻を持つなんて器あるとは思えない…アメリアの事は愛してるし、幸せにしたいと本気で思ってる、いやする…皆の事も好きなんだと思うよ…けど、俺なんて人1人を幸せに出来るかもわからないのに…」
「アーク、それは違うわ…」
「アメリア、ど、どうしたんだよ…」
少し怒ってるのか?
「アーク、私は…私達は貴方に幸せにしてもらおうとなんて思ってない」
「え?」
「私達で幸せになるのよ、どちらか一方がもう一方を幸せにするんじゃなくてお互いに幸せになろうと支え合うのよ…夫婦ってそう言う物じゃない?」
お互いに支え合う…そうか、俺はアメリアを幸せにしなくちゃいけないって思ってたのに…それは間違いだったなんて
「アーク様…私は…貴方が…好き…です…家族も…故郷も…全部無くして…ただ力を…振るう…だけだった…私に…美味しいものや…世界には…楽しいことが…沢山あると…教えてくれた…シュウ様じゃ…ないのは…わかってる…です…それでも…シュウ様と…アーク様は…同じ様に…私に…接してくれて…優しくて…あったかくて…シュウ様に…明るく…照らして…もらった…私の…人生を…アーク様に…見て欲しい…です…貴方を…愛してる…です」
「アル…」
「アーク様…私も心よりお慕いしております…貴方様は平民でありながら、強い魔力を持ってしまった私が貴族に狙われている時に救ってくださいました…同じ平民の人々からも強過ぎる魔力のせいで忌み嫌われ、家族にまでその悪意が迫っている所に貴方様は誰も悲しまない道を記していただいた…シュウ様ではないのは理解しております…ですが、貴方様は同じ心を魂を持っております…そんな貴方の在り方に私は惹かれてしまいました」
「シャル…」
「わ、私は…まだ出会って日が浅いですが、アーク様を想うこの気持ちは誰にも負けてないと自負しています!誰かをこんなにも愛するのは初めてではありますが、迷いはありません!貴方には私が築いてきた殻を取り払っていただきました、私が私でいる事をいいと言っていただきました…アーク様、心の底より愛しています」
「アン…」
「女性にここまで言わせるとは…罪な男じゃの…しかし、これがお前が歩んできた人生の結果じゃ…私の愛おしい愛弟子、姿が変わろうと別人であろうと、私にとってはシュウもアークもどちらも私の掛け替えのない男じゃ…愛しとるよ、アーク」
「師匠…」
「俺は…皆が好きだ…でも…幸せに出来る自信がなかった…俺には何もなかったから…ただ戦う事しか出来なかったから、必要とされたくて手を貸した…見ているのが嫌で助けた…誰かを救ったのだって結局は自分の為だったんだ…俺は自分の事しか考えてなくて…そんな俺が誰かを幸せに出来るんだろうかって…それでも…幸せにしたい人達が出来て…俺を好いてくれる人達がいて…」
俺はアメリア、アル、シャル、アン、師匠の顔を、目を見つめる…この人達が大切だ…何よりも幸せにしてあげたかった…けど、それは無理だったんだ…俺だけじゃ…
「俺は共に生きていきたいと願ってしまった…皆の事を愛してるんだ…アメリア、ありがとう…気付かせてくれて」
「うん」
「アル、シャル、アン、ししょ…ソロモンさん…俺は貴方達のことが好きだ…俺と結婚してくれませんか?」
俺1人じゃ皆を幸せに出来ないなら
「「「「喜んで」」」」
皆で幸せにすればいい
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