第57話 愛してる
「そういえばアークよ、お前口調が昔に戻っとるな」
「え?そうかな?」
師匠から色々な爆弾発言の後、俺たちはルグウィン家に帰ってきていた…研究が一区切りついた様なので師匠も連れ帰った…アメリアが風呂に放り込んでいたが…
綺麗になった師匠と共に夕食を家族皆で摂る
「そうなんですよ!師匠!アークちゃんたら…その喋り方は可愛くないわ!」
「男に可愛さを求めないでもらいたいな、母上…」
「そんな…!こんなにも可愛らしいのに……」
「なあ、俺ってそんなに男らしくない?」
「そんな事ありません!アーク様は誰よりも凛々しく、男性らしいですよ!」
「あ、あぁ…ありがとう…アン」
「私としては、可愛いアーク様も愛らしくて良いと思います、ギャップと言うのでしょか…なにかグッときますね!」
「うん、少し黙ろうか、シャル」
目が怖ぇよ…もじもじするな!
「私は…今の方が…好き…です…カッコいい…です」
「私も今の方が馴染みもあるし…す、好きよ?」
「ありがとうな、アル」
アメリアもありがとう
「抱きしめてもいいだろうか…」
「な、何言ってんのよ!」
「アーク、多分逆だぞ」
「アークももうすぐ16じゃろう?歳相応の話し方にもなるじゃろ」
「そんなことありません!アークちゃんはいつまでも可愛いんです!私の天使なのです!」
「エレナ、公爵家の跡継ぎが子供みたいな口調では、後々困るのはアークだぞ」
「そんなのも、気にしてる方がおかしいんです!」
おかしいのは母上の感性だよ…
「はぁ、全く…そんな事よりエレナよ、アドルフも聞いてくれんか?」
「そんな事って「なんでしょうか?」…もう!」
「私はアークを愛しとる、この子と共に歩む事を許してはくれんか?」
「ぶっ!師匠!?」
いきなり何言ったんだ!?この人は!
「……え?師匠?」
「………ソロモン殿、本気なのですか?」
「勿論じゃ、それからアメリアの事は知っとるじゃろ?アークにはアメリアを筆頭にアルシェール、シャルティア、アンゼリカ、そして私を妻として向かい入れてもらう」
「やっぱり…」
「ふぅ、彼女達の態度を見てアークに想いを寄せているのはわかっていましたが、まさか貴方もとは…驚きましたよ」
「なんじゃ、師が弟子を愛するのはおかしいかの?」
「いえ、男と女なら十分あり得るでしょう……わかりました、私は何も言う事はありません、ただ…アークの幸せに繋がるなら」
「いやいやいやいやいや、ちょっと待って!?なんでもう決まったことの感じになってるの!?」
「お前もいい加減腹を決めぬか!アメリア!お前もじゃ!今、ここで言わねばコイツを私達で貰うぞ!」
「ダ、ダメ!………アーク!」
「アメリア……いや、そんな無理に今決めなくても」
「ううん、無理にじゃないの…それにずっと前から決めてた…けど、貴方を…シュウとアークの事を混同して接していた事に申し訳ないと思ってて…アークを否定したかったわけじゃなくて……シュウがいない事を受け入れるのも嫌で…シュウとして貴方に縋ってた…でも、貴方にも師匠達にも言われて気づいたの、貴方はシュウじゃないって…それがようやく理解して見たら、私アークが好きなんだって気づいちゃった…こんな私をちゃんと見てくれてて、暖かく接してくれて…拗らせちゃったのに待ってくれて、アークとして貴方を好きになれた……だけど、やっぱりまだ…シュウの事も好きなの…忘れられないの…だから」
アメリアが今にも泣きそうな顔で声を震わせている…何やってんだよ、俺は
「心底惚れた相手を忘れるなんて出来ないと思うよ」
「アーク……」
「そりゃ、アメリアが他の男を好きになってるなんてムカつくけど…俺は前の俺を知ってるしその時のアメリアも知ってる…ただ俺って鈍いらしいからちゃんと理解してるかは自信ないけど……俺はそんなアメリアも好きだから、だから…君は明るくて強くて俺にとっては太陽みたいなんだ…いつも力をくれる…ずっと側にいて欲しいと願ってしまう…君にはずっと笑っていてほしいんだ…アメリア、愛してる…俺と結婚してくれませんか?」
「っ……うん!喜んで!」
俺は涙をいっぱいに溜めるアメリアを抱きしめる…アメリアも俺の背中に手を回してくれた
こんなにも嬉しい事なんだ、好きな人と想いを通じ合えるのは
俺たちは見つめ合って互いの唇を合わせる…
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